真珠養殖の良し悪しが現れる真珠肌のキメ
真珠は核入れされて海で養殖されますが、養殖期間、玉出し時期までの間、あこや貝の表面やネットには、ツリガネムシ、ケツボカイメン、カサネカンザシ、サラサフジツボ、ユウレイボヤ、スエヒロクダコケムシ…栄養豊富な海ならではのイロイロが付着します。これらあこや貝の貝殻に付着する海の生物たちは、実はあこや貝にとって有害な生物たちです。
あこや貝はフジツボなどに付着される事で貝殻の開閉の邪魔をされるだけでなく、あこや貝の餌であるプランクトンまで奪い合いになってしまうため、真珠養殖場では定期的に貝殻の掃除をしなければなりません。
養殖業者は2週間に1回程度、高圧洗浄機でそれらの汚れを落とます。付着物が多い場合や取りきれない時は浜揚げして貝殻を磨きます。「貝掃除」は頻繁に行うことであこや貝を綺麗にするだけでなく、貝に直接刺激を与えて真珠層の分泌を促進す効果も有る為、貝掃除は上質な真珠養殖には欠かせない作業なのです。
真珠表面に出来る「キズやえくぼ」は養殖されている期間の真珠生成過程で何かしらのキズ(エクボや出っ張り)ができてしまうものが大半で、ぶつけたりして出来た所謂キズとは全く異なるものを指しています。厳密にはこれら生成過程でできるキズを天然キズと呼びます。真珠は貝が作り出す宝石ですので、真珠層の巻にムラが出たり生成過程で真珠層の育成不足で巻が弱い箇所が出来たりすることが原因なのです。
真珠の評価では基本的にはキズの有無ではなく、キズがあることを前提にそれが多いか少ないかで評価していきます。キズ・えくぼの「多い、少ない」はネックレスの場合30cm程度離した位置から全体を見て判断します。ダイヤモンドの様に顕微鏡を使って丹念に見るというたぐいのものでは在りません、天然の貝が作り出す物なのでキズやえくぼは有る事が前提なのです。またネックレスの場合は傷の有無や大小よりも連想の良し悪しが評価として優先されます。