皆さんこんにちは!ブリッジ銀座アントワープブリリアントギャラリーです。今日はダイヤモンドの蛍光性(フローレッセンス:Fluorescense)とその強弱によっておこるとされるオイリー(OILY)についてです。
下写真は同じリングで蛍光性ありのダイヤモンドに紫外線を照射したときの写真と通常の光源下での写真です。右の写真はかなり強い蛍光反応を示していることが判ると思います。
ダイヤモンドの蛍光性は、その程度によってNone(無し),Faint(弱い),Medium(中),Strong(鮮やか),Very Strong(かなり鮮やか) の5段階にグレード付けされています。色や透明度と同様にダイヤモンドグレードに等級付けがあるために、蛍光性にも上位ランクや下位ランクなどの品質差があるように考えられがちですが、蛍光性と品質はほとんど関係が在りません。それどころかダイヤモンドの蛍光性は、天然鉱物である事の証で、最近話題のラボグロウン・合成ダイヤモンドは蛍光性の原因となる窒素をほとんど含まない為蛍光反応を示す固体が基本的にありません。多少のブルーの蛍光はダイヤモンドの黄味を飛ばし透明色に見せる効果も認められています。
ダイヤモンドの4Cを管轄する鑑定鑑別機関G.I.A.でも、蛍光性はエンドユーザーにとって魅力的な事が殆どである事を報告しています。
また蛍光性が、4Cのグレーディングに影響を与えることは殆どありませんが、余りにも蛍光性が強すぎるため、カラーグレードやクラリティグレードに影響を及ぼすものは、ダイヤモンドグレーディング(鑑定)時にその要因が考慮されています(例えば蛍光性のためカラーグレードやクラリティグレードに影響があると判断された場合、相応のグレードまで落とされます。)しかし興味深い事にデビアスグループの鉱山でTOP0.96%まで選定されたダイヤモンド原石が強い蛍光性を持つ事は稀で殆どが蛍光無しのネグリジェント Negligent評価を受けています。
先日あるお客様で「蛍光性ストロングブルーはオイリーなので避けたいです。」という方が居られました。この話はもしかしたら以前も書いたことあるかもしれないのですが、蛍光性が強いダイヤモンドの見た目が油膜の張ったような状態にボヤっと見える事をオイリーと業界で表現しているのですが、恐らくはそのオイリーの事を指していると思われます。
カットグレードエクセレントにはオイリーない?
ここで問題なのはブリッジ銀座アントワープブリリアントギャラリーでは蛍光性ストロングブルーはよほどの理由がない限り取り扱わないという事なのですが、極ごく稀に上記写真の様な変わったダイヤモンドが入荷してくることが有ります。それは原石の美しさに専属研磨師”フィリッペンス・ベルト氏”が惚れ込んでダイヤモンドを研磨してしまった場合です。上の写真もカラーグレードもKカラーで黄色味を持っておりブライダル品質のハイカラーではありませんでした。しかし、ストロングブルーと言う特別な蛍光性を持つダイヤモンドだったのです。
このようなダイヤモンドがたまに入荷しますが、不思議な事にオイリーのダイヤモンドに当たった事は在りません、それはダイヤモンドのカットグレードがVG(ベリーグット)以上の場合、特にエクセレントの場合はオイリーな原石であってもオイリーさが無くなってしまうという事に原因しています。大変面白い事にダイヤモンドのオイリーはカットグレードが上がると消失してしまうんですね。
蛍光性はその色によって発色の原因が変化します。青色は窒素が原因していると考えられていますが、それ以外の色については原因がいまだに判っていません、2020年の国際的なダイヤモンドアカデミーでもフローレッセンスについての新しい考察は次々発表されており新しい事実がどんどん判明しています。この研究を進める事でラボグロウン・合成ダイヤモンドが脆く想定された強度が出せていない問題などにも切り込んで行けるようになるかもしれないのです。
蛍光性は天然ダイヤモンド全体の約30%程度とされています。もしもお気に入りのダイヤモンドが蛍光性ありだった場合はその程度や色の種類を個性と見立てて世界に一つだけのダイヤモンドを記念品にしてみてほしいです。