皆さんこんにちは!ブリッジ銀座アントワープブリリアントギャラリーです。
今日はダイヤモンド等の宝石類の重さを図る時に使う単位カラット(carat)についてです。カラットは略してctで表記されます。1カラットは1ctと書きます。ルパン三世の映画なんかを見ると冒頭のシーンでルパンがダイヤモンドを盗みに行って【100キャラットのダイヤモンドだぜ】なんてつぶやいたりしてますが、そのカラットの話です。カラットでもキャラットでもどっちも日本語では間違っていません。営業表記はCaratです。その語源はキャロブ (carob) は、マメ科の植物であるイナゴマメ(locust bean 蝗豆、学名: Ceratonia siliqua)だとされています。イナゴマメは地中海地方原産のマメ科ジャケツイバラ亜科の常緑高木で。その種の重さが約0.2gで安定していた事からこの豆の種を使ってダイヤモンドの重さをはかった事から宝石の重さの単位として使われるようになったと言われています。
イナゴマメの重さで宝石を量っていた?
さて、豆の平均が0.2gだったのでその重さを基準にダイヤモンド等の宝石類を計測していた?比較的均一な重さだったとしても天然の植物の種であるイナゴマメの重さで貴重なダイヤモンドなどの宝石の計測を行うでしょうか?特にダイヤモンドラッシュで沸くアフリカなどのやや無政府状態の中でそんな曖昧な単位が通用したのでしょうか?当然ですが、重めのイナゴマメや軽めのイナゴマメ、見た目に判らないように重さに工夫を施したイナゴマメが活躍したのは言うまでもないですね。
という事で、カラブの実、イナゴマメがカラットの起源となったという話は本当なのですが、その豆を実際の宝石取引に使っていたのか?と言うと、貴重な地下資源だったはずのダイヤモンドを豆の種の重さで計っていたというのは本当は間違いです。当り前ですよね、実は1907年の第4回:国際度量衡総会において【200ミリグラムを1カラットとする】事が決定されてダイヤモンドの1カラットは0.2gと定義されたのです。
1907年1ct=0.2gと制定
1907年フランスのパリで開催された国際度量衡総会で緊急的に決定されたこのカラットの基準は1800年代後半にアフリカでダイヤモンドの大規模採掘が開始されたことによります。現地では採掘したダイヤモンドの重さの差異によるトラブルが頻発してたのです。事実187.00 mg〜215.990mgの範囲の少なくとも23のカラット基準がこの時世界には存在しており、その全てが1カラットを名乗っていたのです。187.00 mg〜215.990mgですので、厳密には0.93ct~1.07ctまでが場合によっては1ctと評価されていたということに成ります。現在のルールで考えると誤差が0.1ctも有ります。ダイヤモンドにとって1ctより重さが有るのか?無いのか?はその価値判断においてとっても重要です。それは今も昔も変わりません。
当時のアフリカはトレジャーハンターたちが見つけ出したダイヤモンドを売買する活気であふれていました。同時に売り買いには正確な評価単位として重さは必須だったのです。勿論ダイヤモンドは1カラットが0.2グラムですので、現行のグラム秤ではその重さは正確に判りません。1グラムも1889年に単位が出来たばかりでしたが、それよりもはるかに軽い単位で取引されるダイヤモンドは、その取引価格の大きさから制定が急いで行われました。時は産業革命、世界中が物資の大量生産に向かう中で共通の単位は待望されており、それがなければ取引現地でどちらかに不利な計量単位で商売せざるを得ないという不平等の解消の為に作られた基準なのです。
国際度量衡総会は(こくさいどりょうこうそうかい)は、メートル条約に基づき、世界で通用する単位系(国際単位系)を維持するために、加盟国参加によって開催される総会議で国際化が進む世界の中で統一の基準で様々なものを計測するために単位を作っていった会議です。1889年にキログラムとメートルを世界共通の単位として規定した事を皮切りに今では当たり前の様々な単位を決めていった会議です。1954年には1秒を定めています。