ダイヤモンドは究極のタイムカプセル
リングウッダイト(RingWoodite)は1958年に発見されたマントル遷移層下部(深さ約520-660 km)の主要構成鉱物。2014年の研究で橄欖石(かんらん石)の高圧相リングウッダイトがダイヤモンドの内包物として見つかりました。ダイヤモンドはきわめて高い物理的・化学的安定性をもった物質の為、ダイヤモンド内部に包有されたインクルージョンには地層学者や地球を研究する学者にとっても非常に優れた保護容器(カプセル)となります。ダイヤモンド中のインクルージョンは、謎に包まれた地球深部の情報を直接提供してくれる優れた研究試料となるのです。ダイヤモンドの内包物の研究から地球誕生や進化の過程でどのように水が取り込まれたのかが解明されたり地殻の謎なども解明される日も近いのかもしれません。
しかもリングウッダイトは包水相この場合は水素ですが、ダイヤモンドの生成する地下150~200キロの過酷な条件下では水や空気は存在しないとも思われていたのですが、リングウッダイトの発見によって地球の深部に水が有る事やダイヤモンドには地下200キロ以上520~660キロの超深部で結晶する個体が有る事がわかってきました。こうした個体のダイヤモンドは超深部起因ダイヤモンドと呼ばれます。南アフリカから産出されたカリナンやブルーホープなども超深部起因のダイヤモンドであると言われています。
発見されたリングウッダイトを内包したダイヤモンドはブラジル産のダイヤモンドでした。その他南アフリカやレソト、ボツワナのダイヤモンドからも次々と発見されています。それらは全て南半球のダイヤモンドなのです。アフリカ大陸産等の南半球のダイヤモンドがロシアやカナダなどの北半球のダイヤモンドよりも硬い事とも無関係ではないのかもしれません。ちなみにまだダイヤモンドの硬さに差が有る事と結晶した深度に差が有る事との因果関係について解明されていません。