タガネ 彫金鏨
貴金属細工職人の工具、キャスト上がりのジュエリーから不要部分を除去したり、ジュエリーに模様をつけたり、石留のガイドラインを掘ったり、ジュエリーにダイヤモンドを彫り留したり、爪を掘り起こしたり、する道具。通常職人は自分で超硬金属の棒を加工して用途に合わせてタガネを作り出して作業する。
タガネには刃鏨と打鏨の大きく二種類があり、さらに用途に合わせて色々な硬さ素材の物があります。
超硬タガネ
タングステンなどの高価な金属を用いて作られる超合金。ビッカース高度は2,000とものすごい硬さです。鉄鋼系とはだいぶ性質が異なり、セラミックスに近い固いが脆い性質も持ちます。
ハイス鋼(青タガネ)
通常はハイスと呼ばれる高速度工具鋼ハイスピードスチールを略してハイス鋼(ハイスコー)と呼ばれる鋼を用います。ビッカース高度は700と高く基本的な貴金属の加工に向いています。超硬素材の金属をダイヤモンドなどで磨いて使いやすい形に成型して使います。
炭素銅(赤タガネ)
赤タガネは焼き入れをしたり焼き戻しをしたりして用途に応じてビッカースを調節して使います。
ハイス鋼と超硬タガネを比較した場合、硬さは超硬のほうが上ですが、硬度が上がれば上がるほど靭性と呼ばれる【ねばり強さ】が失われてしまうため、衝撃に弱く脆い面を持っています。無理な力がかかった場合には折れたり、割れたり、欠けたりする場合があります。粘り強さの要求される加工の場合は靭性に優れたハイス鋼のほうが向いている場合もあるようです。
ちなみに現在は超硬タガネが主流です、超硬タガネは高速回転するグラインダーや旋盤などが発する摩擦熱の影響を受けない為、超高温になる作業もこなせます。
石留タガネ
石留タガネは手に握りこんで押し込む作業ができるようにハンドルがついています。 宝石類の石留だけを行う職人をセッターと呼びます。セッターは貴金属加工の現場では最も技術の高い職人が担当します。