セッター(Setter)
石留は貴金属加工の中で華方
セッター(Setter)は宝飾技術の中の1つ石留だけを専門的に行う職人の呼び名。ダイヤモンドなどの宝石をセッティングする方法は複数あり、使用する工具もノウハウも違うのです。例えば”彫り留(ほりどめ)”その1つの技法だけでも極めるには10年の時間が必要だといわれています。限られた一流の石留職人をセッターと呼びます。石留は貴金属加工の中で華方である反面、高額で貴重な宝石類を直接金属にセッティングする大変責任の重い作業でもあります。
あらかじめ石留の穴があけられた原型(ガイドラインの有る原型)もありますが、中にはドリルで1つづつダイヤモンドをセッティングする場所に石座となる穴をあけて彫金鏨(たがね)でダイヤモンドを留める爪を掘り起す場合もあります。ダイヤモンドを石座にセッティングしたら爪を鉸めてダイヤモンドをセッティングしていきます。1つのダイヤモンドに対して掘り起こす爪は4つ、小さくても強固なセッティングを作り上げていきます。
貴重な宝石の留め作業は時に重大な責任が伴います。ダイヤモンドの加工の現場ではダイヤモンド加工業者は責任を負わされる条件として加工するダイヤモンド原石を一度加工する業者が買い取り、研磨後に指定の価格で売り戻すという事を商慣習として行っています。貴金属加工の現場ではセッティングする宝石を都度都度伝票のやり取りはしないと思いますが、仮にセッティングの際に擦ってしまったり傷つけてしまったり、最悪の場合割ってしまうなどのトラブルが有った場合にその責任の所在を全て背負うのもセッターです。
その為一流のセッターになればそれだけ多くのフィーを取って活動する事が出来ます。どんなに価値のある宝石でもそれを加工出来なければ宝石として価値を発揮できないのです。