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ステップカットにブリリアントを組み合わせた偉人

こんにちはBRIDGE銀座アントワープブリリアントギャラリーです。

今日はプリンセスカットの開発においてとても重要な役割を果たしたガードル下の半月型研磨面(ハーフムーンファセット:1970年バジル・ウォーターマイヤ氏による)を応用開発して世界初のステップカットダイヤモンドにブリリアントカットを組み合わせたダイヤモンドクリエイター”ヘンリー・グロス・バード氏”を紹介します。ヘンリー・クロスバード氏は1977年に独自に開発したブリリアントカットとステップカットを組み合わせたカットコーナーのスクエアカットをラディアントカットと名つけて特許を取得します。→ヘンリー・グロスバード氏について詳しく

ラディアントカット、ヘンリー・グロスバード

黄色く塗った部分がハーフムーンファセット、ハーフムーンファセットはこの後様々なステップカットダイヤモンドのパビリオンに採用されます。ハーフムーンファセットの深さや長さを調整する事でダイヤモンドのブリリアンシー(Brilliance)にも大きな影響がある事が光学研究で明らかにされています。グロスバードは翌年のプリンセスカットの開発においても重要な役割を担うのです。

このカットがどう優れていたのか?それ迄ダイヤモンドの研磨面は目に対して平行にしか施す事が出来なかったのですが、(一部オールドマインカットやオールドヨーロピアンといったブリリアントカットは存在していました。ダブルブリリアント、トリプルブリリアントなどのブリリアントカットはダイヤモンドの輪郭を丸く研磨してガードル部分を)平行な研磨面に曲線の研磨面を組み合わせるハーフムーンファセットの応用に在りました。

ハーフムーンはガードル下の黄色く塗った部分の研磨面です。バジルウォーターマイヤー氏とヘンリー・グロスバード氏はダイヤモンドのへき開がガードル下でこの研磨面を実現できることを突き止めます。それ迄は平行なステップカットの研磨面に突然曲線の研磨面を付けることは出来ないのがセオリーでした。その為、四角のダイヤモンドは必ずステップカットに仕上げられており、それ迄発表されたアッシャーカットやプロファイルカットもエメラルドカットの変形にすぎませんでした。しかし、このハーフムーンファセットの発見によってダイヤモンドの加工自由度は飛躍的に向上します。

そしてブリリアントカットがステップカットに組み合わされた最初のダイヤモンドがラディアントカットなのです。キラキラとダイヤモンドの光学特性を最も引き出すカットであるブリリアントを原石の目に対して平行な研磨面に合わせた最初のダイヤモンドで開発当時世界で元っとも注目を集めたダイヤモンドカットなのです。

ラディアントカットはグロスバード氏の商標で、宝石の形としての分類では隅切りエメラルドのブリリアントやカットコーナースクエア・モディファイド若しくはレクタンギュラー・モディファイドブリリアントが正式名称です。ハーフムーンをはじめとするオリジナリティに富んだパビリオン側の高密度なファセットがダイヤモンドに煌びやかな印象を持たせます。また色留が良いためカラーダイヤモンド、ファンシーカラーで多用されます。現在でもニューヨークのジュエラー”ハリーウィンストン”や”ティファニー”が良く使用していますので、雑誌などでも見かける変形カットの1つです。

ヘンリー・グロスバード氏

ダイヤモンドカッター・マスターカッター・ダイヤモンドクリエイター。オーストラリア生まれ、世界大戦の戦火を逃れることが困難な時代ヘンリー・グロスバードはフランスでナチスドイツに捕縛され捕虜として収監されます。グロスバードの一家はアメリカ大使館の働きかけで移住ビザが発給され、アメリカへ移住します。そこでグロスバードはダイヤモンドビジネスと出会います。その後、ダイヤモンド取引で大きな市場を形成していたイスラエルのディアマンテール(サイトホルダー)の元で修業を積み本格的にダイヤモンドビジネスの世界へ入ります。その後、イスラエル・イツコウィッツらとともにクリエイターとして活動を開始、研鑽を積み技術を磨く中で非凡さを発揮してマスターカッターとなります。そして1976年にラディアントカットを開発。ラディアントカットを中心に販売するダイヤモンドジュエラーRCDC CorpのCEOとなる。しかし2005年犬の散歩中に通り魔事件に巻き込まれて銃殺されれしまいます。現在ラディアントカットは彼の息子で会社を引き継いだスタン・グロスバード(Stan Grossbard)へ技術継承されています。

“An experienced craftsman can look into a rough stone and see the finished diamond,”
「ダイヤモンド原石から研磨済みダイヤモンドの形を導き出すためには研磨職人としての経験が重要である」という信念をもってダイヤも度と向き合い続けた孤高のマスターカッターの一人。

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