ヘンリー・グロスバード(Henry Grossbard)
ダイヤモンド加工のセオリー破る破天荒なダイヤモンドカッター
ヘンリー・グロスバード(Henry Grossbard)~2005 クロスバードとも
ダイヤモンドカッター・マスターカッター・ダイヤモンドクリエイター。オーストラリア生まれ、世界大戦の戦火を逃れることが困難な時代ヘンリー・グロスバードはフランスでナチスドイツに捕縛され捕虜として収監されます。グロスバードの一家はアメリカ大使館の働きかけで移住ビザが発給され、アメリカへ移住します。そこでグロスバードはダイヤモンドビジネスと出会います。その後、ダイヤモンド取引で大きな市場を形成していたイスラエルのディアマンテール(サイトホルダー)の元で修業を積み本格的にダイヤモンドビジネスの世界へ入ります。その後、イスラエル・イツコウィッツらとともにクリエイターとして活動を開始、研鑽を積み技術を磨く中で非凡さを発揮してマスターカッターとなります。そして1976年にラディアントカットを開発。ラディアントカットを中心に販売するダイヤモンドジュエラーRCDC CorpのCEOとなる。
“An experienced craftsman can look into a rough stone and see the finished diamond,”
「ダイヤモンド原石から研磨済みダイヤモンドの形を導き出すためには研磨職人としての経験が重要である」という信念をもってダイヤも度と向き合い続けた孤高のマスターカッターの一人。
Radiant Cut (ラディアントカット)
ラディアントカットはそれまであまり輝きが強くないことが問題とされていた平面的なステップカットに放射状の多面カットダイヤモンドのファセットを組み合わせるという画期的なもので、それまでダイヤモンド業界では誰も成しえなかったセオリー破りと言えた。
ヘンリー・グロスバードはステップカットのダイヤモンドに放射線状の多面カットダイヤモンドのファセット路組み合わせることに成功した最初のダイヤモンド・マスターカッターなのです。
ガードル直下に丸い形のダイヤモンドと同じようにファセット配置するためのハーフムーンファセットを作り、パビリオン部分にブリリアントカットを組み合わせるという当時としては世界初の画期的な試みを成し遂げます。ハーフムーンファセットは南アフリカのダイヤモンドカッターでバリオンカットの開発者”バジル・ウォーターマイヤー”の発明からヒントを得ていました。ハーフムーンはこの後の研究で同時にダイヤモンド内部に入射した光の分解と特定の色を反射させるヒントとなり、その後ダイヤモンド業界内でカラーダイヤモンドの研磨等にも活かされる大きな発見となっていくのです。
黄色く塗った部分がハーフムーンファセット、ハーフムーンファセットはこの後様々なステップカットダイヤモンドのパビリオンに採用されます。ハーフムーンファセットの深さや長さを調整する事でダイヤモンドのブリリアンシー(Brilliance)にも大きな影響がある事が光学研究で明らかにされています。グロスバードは翌年のプリンセスカットの開発においても重要な役割を担うのです。
2005年犬の散歩中に通り魔事件に巻き込まれて銃殺された。現在ラディアントカットは彼の息子 スタン・グロスバード(Stan Grossbard)へ技術継承されて引き継がれています。
出展:http://www.radiantcut.com/