イスラエル・イツコウィッツ(Israel・Itzkowitz)
プリンセスカットを生み出したダイヤモンドデザイナー
イスラエル・イツコウィッツ(Israel・Itzkowitz)はダイヤモンドカッター、ダイヤモンドクリエイター、現役でもっとも著名なマスターカッターの一人。
イツコウィッツは1954年イスラエル生まれ、サイトホルダーの一家に生まれ幼いころからダイヤモンドに囲まれて育ちます。ダイヤモンドビジネス一家で育った彼は14歳で最初のダイヤモンドを研磨しました。その後、天性の才能を発揮して頭角を現しすと、ラウンドブリリアントダイヤモンドではエクセレントが不可能とされた時代においてダイヤモンドの新しい可能性を追求し始めます。イツコウィッツは単純に研磨師としてではなく、ダイヤモンドをデザインするという視点で新しいアプローチでダイヤモンドをカット・研磨して様々な新しい可能性を見出していくのです。
まず手始めに1971年、所属するサイトホルダーの研磨チームに参加して49面のスクエアカット・Quadrillion Cutクァドリリオンカットカットを発表します。これはレール留め(チャンネルセッティング)においてダイヤモンドとダイヤモンドの間の隙間を無くすことが目的でした。奇しくも前年1970に発表されたバリオンカットのハーフムーンファセットに大きなインスピレーションを得たイツコウィッツはダイヤモンドの光学特性を最大限に生かす90度のカットコーナーを持つダイヤモンドのプロポーションにたどり着くのです。
レール留めで隙間ないダイヤモンドのブリリアンスが出せないか試行錯誤
そして1979年にクァドリリオンを進化させたプリンセスカットを発表。プリンセスカットはカラットサイズに応じて77面と58面がラインナップされました。
1985年には自身の開発したレール留め(チャンネルセッティング)を用いた世界初のリングデザインでデビアスダイヤモンドデザインアワードを受賞します。
1988年にはプリンセスカットメレを用いたミステリーセッティング(Invisible set Diamonds)を開発、発表します。※1933年にヴァン クリーフ&アーぺルによって特許登録されています。
それまでも世界的な幾つものブランドにダイヤモンドを供給してきたイツコウィッツですが、ミステリーセッティングに使うプリンセスカットメレはヴァンクリーフ・アーペル等の世界的に著名なジュエリーメーカーに専属契約で採用されます。コランダムやエメラルドを使ったミステリーセッティングはそれ迄も有ったのですが完全な正方形のダイヤモンドを使ったミスタリーセッティングはダイヤモンド素材の難しさからそれ迄何処にもありませんでした。
ミステリーセッティングはアイコニックなデザインとして現在も多くの女性(人類)を魅了しています。イツコウィッツはダイヤモンドをデザインする事で世界を驚かせ続けています。その活躍はダイヤモンドの持つ新しい魅力を世界に発信し続けているのです。イスラエル・イツコウィッツはダイヤモンドクリエイターであり孤高のマスターカッターなのです。
彼のインタビューが残されていますがその中でダイヤモンドとは?と問われて
「A Diamond is a Diamond is a Diamond」
「ダイヤモンドはダイヤモンドで、それがダイヤモンドだ。」と答えています。正直この発言の真意は計りかねるところが在ります。彼のこの答えはマスターカッターである彼にしか感じえないダイヤモンドについての見解と言えるかもしれません。