チャンネルセッティング(Channel Setting )レール留めとも
宝石のセッティング方法の一つで、レール留めとも呼ぶ。溝を切った地金素材で数個から数十個の宝石(ダイヤモンド)を左右から挟み込んでセッティングする方法。テーパードバケットカットやプリンセスカット等の90度カットコーナーを持つダイヤモンドをセッティングすると隙間なくきれいにダイヤモンドが敷き詰められたようにセティングできる。ラウンドカットや他のカットでも採用される。
1970年代ダイヤモンドデザイナーのイスラエル・イツコウイッツ氏はブリリアントカットのダイヤモンドをチャンネルセッティングを施したジュエリーではダイヤモンドとダイヤモンドの間に隙間が出来る事が問題だと感じていました。
下写真はラウンドカットのD-Line-Star-Rayです。1970年当時は技術的な問題で四角いダイヤモンドにブリリアントカットを施す事が出来ませんでした。その為、チャンネルセッティングでブリリアントカットを採用すればどうしても隙間が出来、ステップカット等の四角いダイヤモンドをセットする場合はダイヤモンドは辺に対して平行のファセット面を取る(ステップカット)しかなかったのです。
試行錯誤の末にイツコウイッツ氏達開発チームは90度のカットコーナーを持つブリリアントカットの開発に成功します。それが現在のプリンセスカットの原型となったクァドリリオンカットでした。これによりチャンネルセッティング(レール留め)は隙間のないブリリアントの連続に加工する事が出来るようになり、ダイヤモンドラインリングの人気を不動のものにしたと言っても過言では在りません。
プリンセスカットはチャンネルセッティングの為に生み出された四角いステップファセットにブリリアントファセットを組み合わせたハイブリットカットだったのです。イツコウイッツ氏はチャンネルセッティングを駆使したデザインリングを発表してデビアスのダイヤモンドアワードを受賞します。
隙間なくダイヤモンドのブリリアンスが発揮されるプリンセスカットのチャンネルセッティングはその見た目以上に高いセッティング技術要求される貴金属加工技術です。ブリッジアトリエの熟練の石留職人の中でも数名しか正確に仕上げる事のできない難しい石留なのです。