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ヨンカー(ジョンカー)ダイヤモンド(Jonker diamond)

ジョンカー(ヨンカー)ダイヤモンド(Jonker diamond)

1934年1月17日にヨハネス・ヤコブ・ジョンカー(ヨンカー)によって南アフリカのイーランドソファンティン鉱山(Elandsfontein)で発見されました。この原石はもともと世界最大のダイヤモンド原石として発見されたカリナンの5キロ先で見つかっておりその一部ではないかと言われているものです。(下地図のプレミア鉱山付近)実際に原石の天然の切断面がカリナンと一致する場所があった為です。ジョンカーダイヤモンドの原石は726カラットで、当時世界で4番目に大きな原石でした。

デビアスのダイヤモンド鉱山

原石を買い付けたニューヨークのジュエラー”ハリー・ウインストン”は原石のカット・研磨を同じ街に住むダイヤモンドカッター:ラザール・キャプラン氏に託したのです。

1979年のインタビューで、キャプランは、宝石のビジネスにおいて競争相手であるハリー・ウィンストンの仕事を受け入れることに同意した主な理由はお金ではなく、彼の長男レオがキャプランと共に巨大なダイヤモンドのグリーピングを経験できることだったと説明しました。 「私は当初ウィンストン氏のダイヤモンドをクリーピングする仕事はそんなに難しい事だとは思いませんでした」と彼は言っています。事実ダイヤモンドのクリービングこそ当時世界最高と評された彼の天性の才能が発輝される領域だからです。

ジョンカー(ヨンカー)ダイヤモンドの原石がアメリカに来た時、ウィンストン氏の為に世界中のダイヤモンド原石の専門家によって最適なクリービング方法が研究されていたのですが、キャプラン氏がヨンカーダイヤモンド原石を調査確認すると、多くの専門家が間違っていることを発見します。天性のダイヤモンドを見る目が重大なグレインラインを発見させたのです。

キャプラン氏は専門家の提案に従って石を割ろうとすると、ヨンカーは思わぬ方向へ砕けてしまい、この原石から最適な研磨済みダイヤモンドを取り出すことは出来ないとウィンストン氏に伝えたのです。そしてキャプラン流ダイヤモンドのクリービング方法を提案しました。その結果ハリー・ウィンストンはキャプラン氏を信頼しヨンカーダイヤモンドのクリービングを任せることに成ったのです。

キャプラン流ダイヤモンドのクリービング方法を提案し採用される

当時ヨンカーダイヤモンドの原石には100万ドルの保険がかけられていましたが、世界中の多くの専門家が反対するキャプラン氏の切断方法では危険であると専門家たちが反対した為に保険が適応外となるほどでした。レーザースキャニングが発達した現在では考えられない事ですが、そうした技術の無い時代でしたので、この大きなダイヤモンドをいくつかのサイズに叩き割る(切断する)作業は当然ですが後戻りはできないギャンブル要素が多い作業だったのです。
ラザール・キャプランは息子のレオと共に約1年をかけてカットプランを練り上げて、それを見事に成功させます。ヨンカーダイヤモンドは13個に分割されてそれぞれ研磨されます。これによりラザールキャプランの名声は最高潮に高まり「カットの魔術師」と呼ばれるようになったのです。

※現在のダイヤモンド加工にレーザーソーイングと言う新技術が登場して以来、グリーピング技術(ダイヤモンドを割る技術)は必要なくなった為ラザール・キャプラン氏の様な「ダイヤモンドカッター」という職業は消滅してしまったのです。代わってダイヤモンドを研磨仕上げするダイヤモンドポリシャーの腕前でダイヤモンドの輝きを引き出す為に現在はポリシャーが注目されているのです。

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