マランジェ鉱山(Marange Diamond Mine)
ブラックダイヤモンドの主要産地
マランジェ(Marange)はジンバブエ東部チアズワにある約566.5キロメートルと広大に広がるダイヤモンド産地の名前です。天然および処理済み両方のどちらにおいても、ブラックダイヤモンドの重要な原産地として有名です。上写真はマランジェ産ブラックダイヤモンドのラインリング
長く紛争ダイヤモンド指定されていたジンバブエ産ダイヤモンド
この鉱床は比較的新しく、デビアスによって2001年に発見されていましたが、政府が脆弱で不安定な社会情勢の同国では国内のテロリズムが活発で紛争の資金源になる可能性が有る事から2006年まで稼働していませんでした。同年12 月にジンバブエ政府が州の鉱山開発公社を通じて採掘権を引き継ぎデビアスとの半官半民でダイヤモンド採掘をスタートさせました。それでもジンバブエの他地域ではダイヤモンド鉱山がテロリストや反政府組織に乗っ取られる事件が相次ぎ違法採掘があると指摘されていました。
半政府組織やテロリストによるこの地域への攻撃が繰り返されると、多くの人権団体(NGO)は、2008年末のこれらの襲撃で数百人の民間人が殺害されたと報告しています。また、他の多くの無辜の人々が強制労働条件の下で働き続けている事も指摘されていましたが、対抗するだけの武器や力の無かったジンバブエ政府はこの主張を否定し、更に大きな問題へと発展していきます。
これに対しキンバリープロセス (KP) からジンバブエの活動停止を求める声が高まり、キンバリープロセスの代表団は、ダイヤモンド産地で何が起こっているかを調査しました。その結果反政府組織やテロリストによって実際にダイヤモンド鉱山労働者が暴力を受け、奴隷労働させられていると判断。キンバリープロセスによってジンバブエのダイヤモンド採掘の一時停止が決議されました。すると国際社会の助けを借りてジンバブエ政府は反政府組織やテロリストをこの地域から排除することに成功します。その後、マランジェ(Marange)ダイヤモンド鉱山の採掘権はデビアスグループやアルロサ、リオティントなど国際的な地下資源採掘企業へとへ譲渡され安全に運営される事になったのです。
2022年現在デビアスグループによって運営されるダイヤモンド鉱山はマランジェの他にもダイヤモンド産地が多数ありますが、マランジェから大量に産出されるダイヤモンドは、放射線による茶色の染みとグラファイトのインクルージョンが組み合わさることで黒く見えたりする特殊な結晶、八面体と立方体の2つの異なる成長構造(mixed-habitダイヤモンドと呼ばれる)を持つ事も解明され超深度起源ダイヤモンドの研究対象としても注目を集めています。