色相・色合い
色相(しきそう・いろあい)は音、匂い、肌触り感等と同じように、色は私たちが目で見て得られる感覚の1つです。鑑賞して美しさを楽しむ宝石類にとって色は大変重要な要素です。その色の感覚は、光が目に入ることによって得られます。つまり、色を感じる原因は光なのです。
色相は3元素である赤、緑、青を中心として、黄、紫の中間を挟みなら連続しています。それは色の性質で光の特性でもあるのですが、光の色はそれぞれは独立したものではなく、お互いが連続してつながりあってスペクトル色相の輪をつくっています。赤と黄の間には、両方の要素を含む色が無数に存在するのです。例えば、黄みの赤、赤みの橙、橙、黄みの橙、赤みの黄というように、厳密にはもっと細かく分類できます。色の強弱が有るからです。人間の目で判断できる色の種類は60億以上に上ります。
ダイヤモンドの色標記でもグリニッシュ・イエロー、グリーン・イエロー、イエロウイッシュ・グリーン等とても複雑に表現されます。また、色相は暖色から寒色へ変化するにしたがって、暖かい感じの色から冷たい感じの色へと光り方を変化させます。それを”色の暖寒感”といいます。
同じ赤い色(暖色系)の宝石でも何処か寒い感じがしたり、エメラルド(寒色)なのに燃えるような色の緑な事があるのはその為です。ダイヤモンドにもこの寒暖感は在り、同じ色目のダイヤモンドでも暗い感じとか発散してくるような明るい感じなどが有ります。寒色を含む宝石は知的なイメージ、または静かなイメージとなり、暖色を含む宝石は活発で発散するようなイメージとなるのです。
ダイヤモンドの色(光り)は複雑です。その為、GIAやデビアスでも光のパフォーマンスや輝きの優劣といった表現は今日まで避けています。一概に一つのベクトルで計算しきれないのが光であり輝きなのです。ダイヤモンドの鮮やかには、光によって作り出される色相色合いの「派手地味感」「暖寒感」が大きく影響を及ぼします。国際的に信用のある鑑定鑑別機関で輝きの優劣を取り上げないのにはこうした理由が有るのです。