アウトオブラウンド(Out of Round)
真円ではないラウンドカットは美しさに欠ける
アウトオブラウンド(Out of Round)ダイヤモンドのガードルファセットをフェイスアップで見た際に完全な丸に研磨できていない事を指す業界用語。ダイヤモンドは超硬素材だった為に1850年に蒸気機関式のブルーティングマシーンをヘンリーDモースが発明するまでは輪郭を丸く研磨する事が困難でした。
ブルーティングマシーンが開発されるまでは原石の形に添ってファセット面を付けるカットが一般的でした。もともとの原石の形状が丸に近い場合はラウンドカットに研磨できていましたが、原石の形を無視して研磨する事は困難を極めたのです。
ダイヤモンドの国債的な評価基準4Cを定めるGIA(ジーアイエー)ではフェイスアップでのダイヤモンドの最も太い部分と細い部分を測定しており対称性の項目でアウトオブラウンドのダイヤモンドは低評価となります。
現在の技術ではダイヤモンドの輪郭を1%未満の誤差にまで調整することも可能になっています。しかし原石のグレインラインを無視してダイヤモンドを研磨する事が出来ない為に完全な真円のダイヤモンドに仕上げる為には原石の元々の形状が整っていないと真円には研磨仕上げする事が出来ないのは今も昔も変わりません。そしてそれを行うのは熟練の職人の技術です。手先に伝わってくる僅かな研磨振動を頼りにダイヤモンドをほんの僅かづつ磨いていくのです。
ラウンドカットのダイヤモンドを真円に仕上げる。簡単そうで実は最も難しい事の1つなのです。超硬素材ダイヤモンドならではの事かもしれません。