ムガールカット
ムーガールカットはダイヤモンドの表面をダイヤモンドの粉で軽く磨いただけの仕上げの名前。古代インド産のほとんどのダイヤモンドはムガールカットが施されていた。ムガールカットはダイヤモンドを砕いた粉【ボート】をオリーブオイルなどに溶いてペースト状にして研磨材とした。それらを木の皮や動物の皮に塗布して磨きたいダイヤモンドを擦って少しずつ研磨した。これはダイヤモンドの硬さの異方性とへき開を使った研磨法で、古代の職人もダイヤモンドには磨ける方向が有る事を見抜いていたことに成る。
ただし、この方法でダイヤモンドを磨いた場合に1つのファセットが仕上がるのに1か月以上の作業期間が必要であった。
ムガールカットの進化系が表面を磨いてシンチレーションを引き出したローズカット。ロースカットは基本的にマクロと言う平べったい双晶の結晶に専門的に施したが、インドの有名なダイヤモンドは等軸状の立派な結晶だったと考えられる。コ・イ・ヌールやグレートムガルが有名。これらのダイヤモンドは伝説的なインドの鉱山ゴルコンダで産出したとされる。
1858年にインドがイギリスの植民地化して国宝のダイヤモンドは殆どがイギリス王室の所有となってしまいます。1867年のパリ万博にコ・イ・ヌール【186カラット】が世界最大のダイヤモンドとして出品されました。しかしムガールカットのコ・イ・ヌールはダイヤモンドは表面を軽く磨いただけだったので、人々が思い描く輝きからは程遠くあまり輝いていない事に人衆が落胆したという逸話は有名です。
その後、コ・イ・ヌールはオランダのロイヤルコスターダイヤモンドによってブリリアントカットが施され106カラット迄小さくなってしまいます。