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劈開(へきかい)

ダイヤモンドを加工する唯一の方法、劈開へきかい

ダイヤモンドは鋼鉄の研磨盤スカイフで劈開の平行に研磨仕上げする
”へきかい”とはダイヤモンドの持つ性質の事、地球上の物質の中で実験で確かめられている中ではダイヤモンドが天然で最も硬い物質です。ダイヤモンドは炭素の多重結合体で隣り合う炭素原子が電子2個を持ち合う共有結合と云うとても強固な結合方法で結晶しています。 そんな硬いダイヤモンドでも、結合力の強い方向と比較的弱い方向があり、そうした硬さに異方性がある事、その性質を「劈開(へきかい)」と言います。ダイヤモンドをカットしたり研磨したりする加工ではこの劈開の方向を見定めて行います。逆に劈開を無視してダイヤモンドをカットしたり研磨したりする事は出来ません。

ダイヤモンドカッター(クリーパー)

ダイヤモンドの結晶は等軸状結晶の6.8.12.24等の結晶形でその結晶形毎に劈開方向が異なります。その為原石の形が不明瞭な二次鉱床のダイヤモンドだけしか見つかっていなかった1880年まではダイヤモンドはどの方向に劈開が有るのか?が不明でした。ダイヤモンドを割る職人をクリーパー(カッター)と呼びますが彼らは経験と勘でダイヤモンドを劈開して研磨仕上げが出来るサイズまでダイヤモンドを裁断するのですが、クリービング作業は失敗の許されない一回限りの作業だった為に大きなプレッシャーがかかっていたのです。
また原石の保有者は原石から仕上げられる研磨済みダイヤモンドの価値を見越して原石に金額設定していますのでカットの失敗は大きな経済的損失でもあったのです。安全にダイヤモンドを裁断できるようになる1990年まではダイヤモンドの原石加工に保険が適応になるなど、歴史的なサイズのダイヤモンドの加工は世界の注目を集めたのです。

ダイヤモンドカットの魔術師と呼ばれたラザール・キャプラン氏はヨンカーダイヤモンドの持ち主だったハリー・ウインストン氏にクリーピング仕上げする際に100万ドルの保険が有効になっていない(多くの専門家が失敗すると思っていた方向にダイヤモンドを割る)カット方法を提案し実際にそれを成し遂げた話は有名です。実際にダイヤモンドのへき開についてはレーザースキャニングの技術が向上した1990年以降飛躍的に解明が進んで今では劈開方向や結晶の接合方法などの詳細も看破出来るようになっています。
その未来を予見していたキャプラン氏はヨンカーダイヤモンドのカットを何故担当したのか?と言うインタビューに「大きなダイヤモンドを実際にクリーピング出来る(叩き割ってカットする)経験を息子にさせたかったから」と回答しています。そして実際その直後に運用開始されたレーザー技術によってダイヤモンドクリーパーと言う職業は無くなったのです。

ダイヤモンドはレーザースキャンで結晶方向や劈開、内包物の位置や種類など看破できる

現在ダイヤモンドの劈開方向は完全に看破され間違いのないように加工できるだけの技術力がダイヤモンド加工業界には付いています。ダイヤモンドカットや研磨を行う職人やプランニングの技師たちは、レーザー技術を駆使してダイヤモンド原石の劈開を見定めて最終的にどんな形のダイヤモンドに仕上げるのかを決定してレーザーソーイングで安全にダイヤモンドを加工しています。

⇒ダイヤモンドの劈開についてもっと詳しく

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