ダイヤモンドの美しさはどうやって判断する?
ダイヤモンドの美しさは原石と研磨者で決まる
先日ご来店されたお客様が仰った言葉で。「ここに来る前に見てきた店のダイヤモンドもD-VS2-EEE/HCだったので美しさは同じですね?」と言うのが有りました。これはキチンとダイヤモンドを説明させていただいた結果ご納得いただいた内容なのですが、結構私たちにとっては大事な内容と思いましたのでココに記載させていただきます。
確かにダイヤモンドの国際的な評価基準である4C(カラット、カラー、クラリティ、カット)は同じです。4Cはダイヤモンドの価値を判断するための基準なのでダイヤモンドの物としての価値としては両店舗に展示してあったダイヤモンドは同じ、もしくは同格という事になります。ここまではお客様の認識は合っていると思います。4Cは価格の判断に使われるものなので、価格の評価としては同じなのです。
しかし、それでもそれぞれのダイヤモンドが持つ美しさは別物です。実際にダイヤモンドの4Cはその価値を見極めるのに現在の指針の中で最も適した基準です。ですのでダイヤモンドの原石ディーラーたちも実際のダイヤモンドを見なくても紙の上の判断でダイヤモンドを取引できます。実際のモノを見なくても4Cだけでダイヤモンドを取引していますのでとても便利な指標です、4Cは非常に優れた基準と言えると思います。しかしラパポートレポートがどんなに頑張っても 今日までアメリカのウォール街で4C評価だけではダイヤモンドを投資家たちが先物として取引する(取引できる)ほどの基準とはなって居ないのです。それはなぜか?4Cグレードが同じでも見た目が個々のダイヤモンドで全て異なるからなのです。
そして実際にダイヤモンドバイヤーの世界でも美しいダイヤモンドとそうではない4C同グレードのダイヤモンドが異なる価格で取引されることは珍しい事ではないのです。それではダイヤモンドの見た目や、美しさは何によって決まるのでしょうか?
それは、、、”ダイヤモンドを仕上げる職人”と”原石の品質”
なのです!
ダイヤモンドを仕上げる職人とは?テクノロジーが進化した現代でそれは”ポリシャー研磨者”の事です。ひと昔前なら”カッター切断者”の事を仕上げる職人として表現していましたが、カッターと言う職業は1990年以降、テクノロジーの進化によって衰退し消滅しました。人の手で行うカット作業は不確実性が高く失敗のリスクも付きまとう為、ほとんど業界内では機能しなくなったのです。現在では現生のカットはレーザーを使って安全に行われます。実際ダイヤモンド・カッターが活躍した1900年代は仕上がりが不確実なカット作業には失敗した場合の為に保険がかけられるほどでした。1900年代のダイヤモンド・カッター達の伝説は多くが失敗の許されない巨大なダイヤモンド原石を”叩き割る(カットする)”作業が「如何に責任と重圧のある仕事であったか?」を記したものが殆どです。もしも当時レーザー技術が有ったなら歴史的なダイヤモンドはもっと大きなサイズの1つ石に仕上がっていた事は想像に難くありません、1988年に世界最大と認定されたゴールデンジュビリーは原石が755カラットで仕上がりは545カラットですので、ほとんど重さを失わず仕上がっているのです。カリナンは原石の時3100カラット以上だたにもかかわらず仕上がりが530カラットと大幅に重さを失っています。当時の最新技術と現在の最新技術、テクノロジーの差と言えばそこ迄ですが、それほどレーザー技術は革新的な事なのです。
では腕の良い研磨者とは?どんな人の事を云うのでしょうか?それは表面研磨と各ファセットの対称性をきちんと合わせて仕上げる事が出来る職人の事を言います。BRIDGE銀座アントワープブリリアントギャラリーで指名する”フィリッペンス・ベルト氏は1960年生まれ、ダイヤモンドは超硬素材でまだまだ加工が思うように出来なかった時代です。動力も馬力が今ほど強力に出力出来なかった時代なので強くダイヤモンドを研磨したりソーイング切断したりが出来ませんでした。力の弱い機械を扱う職人達にはその腕前(機械を扱う技術)が問われたのです。
車の運転なんかでも、当時と比較するとパワーハンドルの有り無しや、ABS等の制動装置の有り無し、そしてミッションの切り替えがアナログがデジタルか?等大きく異なります。そして大きく異なるのはエンジンの性能です。ダイヤモンドの職人たちと異なる話の様ですが、これは技術の進歩で扱う機械の性能が進化する過程がほとんど同じなので例として使わせてもらいます。職人たちはそうした機械操作の上手い下手でその格付けをされていた時代でもあったのです。
そんな中でフィリッペンス・ベルト氏のようなコネや後ろ盾のない一般職人たちは研鑽を積みその技術で周りの評価を得て、難しい原石を次々誰にもできないような美しされ仕上げきる事を積み重ねて信頼を得ていくしかありません。
フィリッペンス・ベルト氏は一部ダイヤモンド一家に生まれて労せずに良い原石を与えられて、その中で頭角を現した人たちとはちょっと違います。一般職人の中で頭角を現し誰もが求めざるを得ない実績を積み上げた職人なのです。
ベルト氏はその手腕を買われて1988年業界の悲願でもあったラウンドブリリアントのカッティングプロポーション最高グレード”エクセレント”を達成するための特別な研磨チーム”topチーム”のリーダーに選出されます。しかも自身がその時所属していたサイトホルダーには2000名の研磨工がいる中で最高の腕前であると認められていたのです。
一般職の中から頭角を現したダイヤモンドカッターとしてラザール・キャプラン氏(1884-1986)が有名ですが、キャプラン氏も最初は高品質とは言えないダイヤモンド原石を与えられ、その中から驚くような美しいダイヤモンドを取り出したと言います。それ迄誰にも出来なかった事を独自の選定眼でカットして名声を得ていったのです。どの時代も「どうしてあいつだけ?」「どうやったらできるんだ?」と言うような事を、事も無げに成してしまう天才は居るのです。
現在、現役で世界最高の技術を持つ研磨職人
そしてそんなベルト氏が手掛けるダイヤモンド原石はどんなものでしょうか?
BRIDGE銀座アントワープブリリアントギャラリーではフィリッペンス・ベルト氏のためにダイヤモンドを用意します。それは超硬ダイヤモンドをして知られるアフリカ大陸のボツワナ産ダイヤモンドです。(※ボツワナ政府と鉱山企業が50%:50%持ち合いの半官半民の地下資源採掘ぎぎょうデブスワナのダイヤモンドです。)しかもボツワナでダイヤモンド原石はデブスワナの事務所で厳しく選定されます。
ダイヤモンド原石には大きく4種類の品質が有ります。宝石用最高グレードの①ソーヤブル、宝飾用中~高グレードの②メイカブル、そして宝飾用ギリギリの低品質③ニアジェム、そして宝飾用には使用できない④工業用です。
私たちが取り扱うダイヤモンド原石はもちろん①のソーヤブルです。①ソーヤブルはソー”のこぎり”エーブル”出来る”切断可能なダイヤモンドの意味を持つ造語です。その昔ダイヤモンドは硬すぎて加工できませんでした。その時代でも切断可能なダイヤモンド原石は結晶の整ったものだけだったのです。結晶系がきちんとしたダイヤモンド原石はノコギリ可能ソーヤブルと呼ばれたのです。
ボツワナ産のソーヤブル原石の中でさらに選定します。ダイヤモンド原石は大きく等軸状の6面、8面、12面とそれらの複合した複雑な結晶系迄様々です。一口にソーヤブルと言ってもどんな結晶系のソーヤブル原石なのか?は重要です。何故なら最も硬度の高い硬い結晶は8面体だからなのです。
下写真は実はすべてソーヤブル原石です。しかし、さまざまな形のソーヤブルが混じっています。中にはマクルと呼ばれる平べったい結晶も見えます。ソーヤブルと言えどマクルはテーブルカットの宝石に向きません、ラウンドブリリアントやプリンセスカット等のテーブルカットのブリリアントに仕上げるには等軸状結晶である必要があるのです。なかでもアントワープブリリアントでは8面の結晶を選定します。そして最終的に0.96%まで絞り込んだ最高グレードの上質なダイヤモンド原石を選び出していくのです。
フィリッペンス・ベルト氏はその中からさらに自身で上位10%だけを厳選(10石あるとベルト氏が選び取るのはわずかに1石のみ)します。フィリッペンス・ベルト氏によって選定されるダイヤモンド原石はベルト氏の審美眼で最終選定されています。宝石の美しさは数値化できません。価格と希少性は国際的な評価基準4Cによって決められていますが、美しさは4Cでは判断できません。ダイヤモンドの美しさは原石の良し悪しと研磨者の腕前で決まると言われますが、BRIDGE銀座アントワープブリリアントギャラリーでは原石の美しさを見抜く研磨者の審美眼を大切にしています。フィリッペンス・ベルト氏は「これは美しくなる原石なんだよ」と一言で表現していますが、仕上がったダイヤモンドは例外なく鮮やかな虹色で、ひときわ明るく、そして暖かい輝きを放つのです。それはもともと原石その物の持つ美しさを研磨者の技術で引き出して初めて発輝されるものなのです。
最近銀座の複数の店舗でもソーヤブル原石を使っています。というお店で接客されたというお客様がご来店されます。しかしそこで見せてもらったという写真を拝見すると、原石を荒仕上げして加工された8面結晶の写真を出しているお店が多いようです。ダイヤモンドには劈開という割れやすい方向が有ります。等軸状の結晶ではそれぞれの面を簡単に劈開して原石の形を整えています。
一件ソーヤブルに見えないダイヤモンド原石であってもレーザースキャニングの技術を使えばソーヤブル原石であることを看破できるケースが多いのです。しかも業界で”グラッシー”と呼ぶ、結晶の向こう側がガラス状に透けてみえる原石以上に、ハイカラー(カラーグレード4C評価でH以上の白いダイヤモンド)はグリーンヴェールと呼ばれる緑色の膜に薄く覆われた原石から出現することが多いのです。
グリーンヴェールを纏ったダイヤモンド原石たちです。原石を辞書で調べると”磨けば光る石”の事を指す言葉です。しかし、確かにこの原石たちは磨かなくても既に綺麗だから凄いですよね!存在美(そんざいび)と言う言葉をフィリッペンス・ベルト氏が良く使うのですが、ダイヤモンドは加工しなくても既にその存在だけで美しさを放っているのです。
最高のダイヤモンド原石を最高のダイヤモンド研磨者が仕上げる!それがアントワープブリリアントなのです。かなり話がそれてしまいましたが、ダイヤモンドの美しさは”原石”と”研磨者”で決まり、価格は”4c”で決まるのです。ですので僭越ながら同じ4cグレードであってもBRIDGE銀座アントワープブリリアントギャラリーのダイヤモンドと他店のダイヤモンドは美しさが異なるのです。
一生の思い出となるダイヤモンドはぜひ世界最高の輝きを放つダイヤモンドを選んでいただきたいと願っています。
あなたの思い出は最高の輝きと共に
それがBRIDGE銀座アントワープブリリアントギャラリーの願いなのです。