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スーパーディープダイヤモンド(SuperDeepDiamond)

最新研究で明らかになるスーパーディープダイヤモンド

美しいダイヤモンドはアフリカから

男子諸君、一生一回のプロポーズに込める想いは何ですか?きっといろいろな想いを込める事でしょう、ダイヤモンドはこれまでも様々な人の様々な決意や夢、愛情や情熱を込めて人から人へと受け継がれてきました。どうしてダイヤモンドがそうした人の想いを受け継ぐ宝石なのでしょうか?
私は宝石屋のくせに余りオカルトは信じていませんがダイヤモンドが想いや夢を閉じ込めるタイムカプセルの様に贈る人と贈られる人の気持ちを守ってくれる事は信じています。愛情や情熱、決意に使われる形容詞は深いや熱いや固い、ダイヤモンドにおいても近年、深い、熱い、硬い、と言う個体が話題になっています。
愛情と決意をこめて男性から女性へ贈られるプロポーズリングのダイヤモンド。ダイヤモンドの輝きに男性が込めるのは”想い”や”夢”そしてこれからも共に歩もうという”決意”でしょうか?それでも人それぞれ宝石ダイヤモンドに託す思いには違いが有るかもしれません。想いや愛はなぜか”深さ”や”固さ”でその強弱が表現されています。実はそんな思いを託す宝石ダイヤモンドについての新しい研究結果が発表されています。

スーパーディープダイヤモンドはブリッジ銀座


宝石用ダイヤモンドの国際的な評価基準4Cを決めているアメリカの鑑定鑑別機関GIAではそれ迄に考られていた場所よりもよりもずっとずっと深い地点で結晶したであろう硬いダイヤモンドが有る事を発表しました。上図はエヴァン・スミス博士が使用したプレゼンテーションの抜粋ですが、後述するダイヤモンドのタイプⅡbでホウ素含有系のダイヤモンドについて、どうして地上には豊富だが地底に存在していないはずのホウ素がダイヤモンド内部に取り込まれるか?しかも超深度でという問いに、今まで誰も仮説すら立てる事が出来ない事でしたが、今回この難題に仮定としてホウ素が地球深部までマントル動きで運ばれているという研究結果が発表された時の図です。

ダイヤモンドは現在までの宝石学(地層学)では地底150キロから200キロで結晶していると考えられていました。それは今までダイヤモンドの中から見つかった内包物(ダイヤモンド内部に含まれる不純物)がそれぞれ地底150-200キロ地点に有ると推測される物だけだったからなのです。そもそもダイヤモンドの中には最大で24種類の内包物が入るとされていました。逆説的にそれ以外の物質はダイヤモンドの中に内包され得ません。
ブライダル用のダイヤモンド内部に入っている内包物の代表と言えばガーネット、スピネル、オリビン、そしてダイヤモンドです。これらの鉱物は地下200キロまでにある筈の鉱物である事から、ダイヤモンドの結晶が成長する際に内包物として内部に取り込んで地上まで運ばれたと考えられていたのです。(※上記4種類の他にも低品質ダイヤモンド内部に内包される物質には偏りが多いことが有り、美しさを損ねる内包物が多く内包されるケースも散見されます。)

しかし2016年、GIAのエヴァン・スミス博士たちの研究チームは窒素をほとんど含まないタイプⅡのダイヤモンド内部からそれ迄見つかった事ない鉱物を含む様々な発見をします。そして、それ以降、様々なこれまで見つかっていない物質を含むダイヤモンドがる事が判って来たのです。それらの内包物の特性からダイヤモンドの結晶深度を地底660キロ付近あるいはそれ以上である可能性が有ると結論したのです。

超深度起源のダイヤモンドCLIPPER(クリッパー)

そして地底200キロ以上の深度で結晶したダイヤモンドを超深度起源ダイヤモンドCLIPPER(クリッパー)と定義しました。※CLIPPERダイヤモンドにはもう少し細かな定義が有りますが此処では割愛します。
200キロよりも結晶深度の深いダイヤモンドでは窒素含有率が劇的に低下して出現タイプはⅡ型が多くなり、しかも200キロ地点とは異なる内包物が多く内包している事も判ってきました。
(超深度起源ダイヤモンドの研究では判り易くタイプⅡを使いますが、タイプ1の中にも超深度起源ダイヤモンドは含まれています。)

圧力と温度で変化する鉱物名称

ダイヤモンドも温度と圧力が高い状態で結晶しているとダイヤモンドですが、これが解けてしまった場合には石墨になってしまう事は有名です。
水蒸気、水と氷の様に本来の内包物でもあるスピネルやガーネット、オリビンなどの鉱物類も変異します。オリビンが変異したリングウッダイト(RingWoodite)は1958年に発見されたマントル遷移層下部(深さ約520-660 km)の主要構成鉱物ですが、今回の研究でクリッパーダイヤモンドの内包物としてもこのリングウッダイトが発見されました。リングウッダイトは橄欖石(かんらん石)の高圧相で地上で確認する事はこれまで極めて困難でした。その為、地球深部若しくは宇宙空間での隕石などから採取する以外の手段がなかったのです。
ダイヤモンドはきわめて高い物理的・化学的安定性をもった物質の為、ダイヤモンド内部に包有されたインクルージョンには地層学者や地球を研究する学者にとっても非常に優れた保護容器(カプセル)となります。
ダイヤモンド内部にリングウッダイトが内包されていると言う事はリングウッダイトが結晶した地点でダイヤモンド内部に取り込まれ内包物化したと考えられ、そのダイヤモンドの結晶地点はリングウッダイトの結晶地点より少なくとも深いという仮説が成り立つのです。
スーパーディープダイヤモンドは古代地球深部の情報を閉じ込めるタイムカプセル
このように地球学者にとってダイヤモンド中のインクルージョンは、謎に包まれた地球深部の情報を直接提供してくれる優れた研究試料となるのです。
ダイヤモンドの内包物の研究から地球誕生や進化の過程でどのように水が取り込まれたのかが解明されたり地殻の謎なども解明される日も近いのかもしれません。
また超深度起源ダイヤモンドの内部からはそれ迄自然界で確認されていなかった新素材、鉄で出来た金属内包物も発見されています。また興味深い事に超深度起源のダイヤモンド内部には純粋な酸化していない鉄が内包されて居る事も判ってきました。地球の深部は鉄で出来ていて重力の正体は一種の鉄の作用なのでは無いか?

ダイヤモンドとクリッパーは異なる物質なのか?

上質なダイヤモンド原石を使ったエンゲージリング
一部科学者の間では通常の結晶深度のダイヤモンドと超深度起源ダイヤモンドクリッパーを区別すべきで、同じ鉱物として扱うべきではないという意見が出てきています。ダイヤモンドはもともと窒素の含有量の違いによってⅠ型とⅡ型に分類されており、更にそれぞれ結晶構造によってAとBに区別されていました。これまでもダイヤモンドには合計4種類のタイプが存在していて、それぞれに特徴が異なる事は確認されていたのです。
このため、この内タイプⅡのダイヤモンドに関してはそもそも違う鉱物として区別すべきで有るという意見が出てきているのです。しかし、現在のルールでは超深度起源ダイヤモンド、CLIPPERダイヤモンドだからと言って(Ⅰ型Ⅱ型)高値で取引されるという事では在りません。ただし、タイプⅡのダイヤモンドのサイズが大きくなりやすい事や内包物の排除が他タイプに比べて高い事で高品質扱いとなり結果的に高額で取引される傾向は有ります。

元々ダイヤモンド業界内ではダイヤモンドは個体毎に大きな違いがある事は知られていました。しかし、それを4Cという評価基準を使って価値決定・値決めしていた事から、違うと判っていても同じ尺度で評価するしかなかったのです。
私たちダイヤモンドディーラーですら決まりが有って「ダイヤモンドは固体1つづつでパッケージして互いが干渉しない様に持ち運ぶ事」と新人の時に習います。
これは高硬度のダイヤモンド同士がぶつかり合うとどちらか一方がダイヤモンドに傷を付けてしまうとが原因なのです。実はダイヤモンドの個体には硬さの違いが有り、それが原因でこうした事が起こります。特にこれまではデビアスのシンジゲートによってダイヤモンド原石の販売がコントロールされていたので、産地毎や原石毎の品質さについてそこまで踏み込むことも出来なかったのです。

ソーヤブル原石は超深度起源クリッパーダイヤモンドではやや歪

上質なダイヤモンド原石からは美しいダイヤモンドが研磨される 高品質アフリカ産ダイヤモンド原石8面ソーヤブルは決して整た形ではない 高品質アフリカ産ダイヤモンド原石ソーヤブルは美しい 高品質アフリカ産ダイヤモンド原石ソーヤブルは決して整た形ではない結晶した地点が深ければ深いほどダイヤモンドの結晶は硬く結晶しているというのは誰にでも想像に難しくないと思います。また、クリッパーダイヤモンドの原石は正八面のダイヤモンド結晶では無くやや歪な形が多い事も判ってきました。
より高い圧力で締め付けられ、より高い温度で熱せれられたダイヤモンド。それらは何故か少しゆがんだ形のものが多いのです。歴史的な巨石カリナンやエクセルシオールコイヌールブルーホープ等も原石の状態は等軸状からは崩れていたのですが、これが超深度起源クリッパーダイヤモンドの原石の特徴でもあるのです。それら巨石の多くは4Cグレードで評価するとDカラー等のハイカラーでIF/FL等の超高クラリティである事が多い理由は超深度だからなのです。そしてその超深度起源ダイヤモンドの産地が最新の研究によって明らかになって生きています。

クリッパーダイヤモンド(スーパーディープ)の産地

スーパーディープダイヤモンドはピュアな結晶で格別の美しさ
現在稼働しているダイヤモンド鉱山の内、2次鉱床はオーヴェイムに1次鉱床はパンゲア、クラトン、ソリスフェアの場所に限定されています。これはダイヤモンドが数億年前の岩盤を突き破って地球深部から押し上げられないとダイヤモンドを保てず石墨へ変異してしまうからです。この内スーパーディープ・クリッパーダイヤモンドの原石が産出する地点はパンゲアの有る場所だけである事が最新の研究で判ってきました。

ここで問題になるのは、もし同じような価格で超深度起源ダイヤモンドと通常のダイヤモンドが販売されて居たら?どちらが人気となるのでしょうか?そもそもその違いを定義できる材料が出てくることはもっと重要ですが、ダイヤモンドの美しさは其の硬さから発揮されます。
その為より硬いダイヤモンド原石から削り出されたダイヤモンドの方が美しいのです。長らくダイヤモンド個体の個体の差異について加工研磨の現場や宝石店の間では認識されていましたが、それについて科学的に解明されずにいました。
しかし今回の研究発表でこの事は前進する可能性が出てきたのです。
「美しいものはアフリカから」とはダイヤモンド業界に長く伝わる格言ですが、どうしてアフリカのダイヤモンドが美しいのか?は誰にもわかりませんでした。単純に肌感覚で【綺麗な気がする】という感覚を頼りに取引されていたダイヤモンドですが、実際に研磨済みのダイヤモンドを見比べた場合に輝きの強さに違いが有る事は多くの専門家の間で認識されてきました。
しかしそれが何によってもたらされるのか?は不明でした。その為、カットグレード・エクセレント以上に輝く等の宣伝文句で販売されるダイヤモンドが登場したり、市場の混乱に一役買っていた事は否めないのです。
美しいものはアフリカからという格言は、アフリカがより硬いダイヤモンド原石を産出しているという意味だったのです。
そしてその美しさはダイヤモンドを磨き上げる研磨者の腕で引き出されます。
硬い原石はそれだけ加工が困難になります。アントワープブリリアントで加工を担当するフィリッペンス・ベルト氏にインタビューした際に研磨加工にかかる時間で柔らかいものと硬い物では4倍の時間が必要だと仰っていたのは印象的です。硬い原石は熟練の研磨工でも仕上げきるに高い技術が要求され且つ中々研磨し切る事が出来ないのです。

原石品質と研磨者の腕前でダイヤモンドの美しさが決まる

ダイヤモンドはグレーダーの手で様々な段階にチェックされる
私たちブリッジ銀座アントワープブリリアントギャラリーで展開するダイヤモンド原石はデブスワナから供給されるボツワナ産を中心とした高品質なアフリカ産ダイヤモンドです。この地域は上図で御確認いただけるように超深度起源ダイヤモンドの産地です。鉱山企業から提供されるダイヤモンド原石は上位1%以内迄選び抜かれた超高品質のみ。
美しい物はアフリカからと言う業界の格言で言われる美しいダイヤモンド原石です。クリッパーダイヤモンドの定義がどうなるかは不透明ですが、少なくともアフリカのダイヤモンドは他産地よりも美しく硬い事は判っていますので、私たちはこの産地に拘ってダイヤモンドを展開してゆきます。美しいアフリカ産ダイヤモンドご検討の場合は是非一度ブリッジ銀座アントワープブリリアントギャラリーへお運びください。

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