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エクセレントカット(Excellent Cut)

GIAによって考案されたダイヤモンドの理想的なフォルム”エクセレント”

ダイヤモンドの国際的な評価基準4Cの内、カットグレードの最高位をエクセレントカットと呼びます。GIAによって定められたダイヤモンドの国際的な評価基準4Cの内カットグレードではエクセレント、ベリーグッド、グッド、フェア、プアの5段階で評価します。ダイヤモンドの4Cの内、比較的容易に目視で輝きが強いか弱いかを判断する事が出来る項目でもあるためダイヤモンドを選ぶ際には最も需要な要素のひとつと言えます。エンゲージリング婚約指輪のメインストーンにはエクセレントカットのダイヤモンドが最も選ばれています。

理想的なダイヤモンド形を求め、輝きを求める

理想のダイヤモンドカットを求める考えは1850年にアメリカのダイヤモンド加工業”ヘンリーDモース”のリカットによって生まれました。それ迄の業界の常識を覆してカラットよりもカットを優先により輝くダイヤモンドを磨き上げるモースの考えは革新的でした。しかし供給量が余りにも少ないダイヤモンドを小さく磨きあげるモースのダイヤモンドは一部には否定的な意見も有ったのです。
世論が一変したのは1880年、この頃アフリカでダイヤモンド鉱山が発見され、それ迄圧倒的に希少だったダイヤモンドが有る程度の供給量が確保された事で生まれてきました。
初めは1919年に数学者でダイヤモンド研磨者一族だったマルセル・トルコフスキーの著書【ダイヤモンドデザイン】の中で発表されました。ダイヤモンド内部の光の屈折について計算し導き出された理想的なダイヤモンドの形が記載されたトルコフスキー案でしたが、記載の通りに研磨しても、ガイドラインにカイトファセットやアッパーガードルファセットなど斜めに採られたファセットの角度やサイズなどの決まりや、それら斜めのファセットからの入射光についての詳しい記載がなかった事、その他様々な不完全性によって理想のカット形状とは最終的になりませんでした。

しかしダイヤモンドの輝きという事に踏み込んだトルコフスキー案を突き詰めていくことは業界にとっても大きな進展となりました。それによって研究者や研磨者は独自に研究を進め理想的なダイヤモンドの形を追い求めていきます。ダイヤモンドの各付け機関として世界的な権威を持つGIAでは1980年までダイヤモンドの教材としてトルコフスキー理論を取り上げていたほどです。
しかしその不完全性が指摘されると教科書からは外し独自にダイヤモンドの理想的なフォルムの研究を開始します。そして1988年GIAによって理想のダイヤモンドカット形状【エクセレント】の概要が発表されます。
これによって世界中のダイヤモンドカッターやサイトホルダーなどが開発競争に入りますが、大変な歩留まりの悪化を招く形状であることや、研磨できないグレインなどの問題で なかなかエクセレントカットが達成されることは無いままに時だけが過ぎました。そして1990年にベルギー・アントワープのフィリッペンス・ベルト氏によって遂に世界で初めてエクセレントカットが達成されたのです。

これによってダイヤモンドの国際的な評価基準である4Cは2006年まではカットグレードを除いた3C(カラット・カラー・クラリティ)で表記されていましたが2006年にカットグレードが加わって現在の4Cとなったのです。
ダイヤモンドの美しい輝きは正確無比なカット技術によって引き出されます。婚約指輪のメインストーンとして人気のカット形状は”ラウンドブリリアントカット”正面から見て丸い形状の58面に磨き込まれたカットです。

ダイヤモンドは伝説の宝石

カットの良いダイヤモンドは光のモザイクが均等で無限に広がるスペクトルへの光の分散が女性の手元を美しく彩ります。ダイヤモンドの指輪を着けて少し髪の毛を触るしぐさや携帯電話やカバンを持った時など左手が少し動くたびにキラキラと美しい輝きを発揮します。

そしてカットグレードにはこの後、ポリッシュとシンメトリーと言う2項目を表記項目として加えたトリプルエクセレントの時代へと入っていくことに成るのです。
ダイヤモンドの美しさは原石の良し悪しとカッターに腕前で決まると言われますが、それはあくまでもエクセレントカットの範囲内での話でそれ以下のカットグレードのダイヤモンドがエクセレントカット以上に美しく輝くことは基本的にありません。

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