アントワープ(Antwerp)
ダイヤモンド研磨の聖地アントワープ(Antwerp)
アントワープはベルギー北部最大の都市でダイヤモンド研磨において重要な役割を果たした聖地。古くはルドヴィック・ベルケムやトルコフスキー一族などダイヤモンド業界に功績を残した偉人を多く輩出している。
写真はアントワープの駅舎、この中央駅に隣接するダイヤモンドストリートには世界で取引されるダイヤモンドの80%もの物流が集中していてその流通量は世界最大。ダイヤモンドの世界的なカルテル、デビアスグループの指定を受けたサイトホルダーと呼ばれるダイヤモンド研磨を専門に行うダイヤモンド開発企業の事務所が最も多く立地している。
さらに郊外にはダイヤモンドの研磨地が広がっており、1980年代には多くのダイヤモンド研磨工がアトリエを構えていて、ダイヤモンド研磨の分野では世界有数だった。現在は研磨工賃が安価な中国やインド、アフリカ諸国に押されてシェアを失っている。しかし研磨技術は現在も世界最高レベルに維持されており、重要なダイヤモンド原石は特別にアントワープでカット研磨されています。ブリッジ銀座の専属研磨師フィリッペンス・ベルト氏率いるTOPチームの研磨工場もアントワープ郊外にあります。
写真は日本でも観光地として人気の出ているアントワープの駅舎
ベルギーの鉄道の歴史は古く、1836年まで遡ります。日本はまだ江戸時代。この頃にアントワープ~メッヘレン間が最初に開通しました。メッヘレンは16世紀にネーデルランド(オランダとベルギー)の首都が置かれていた重要な場所です。現在はブリュッセルとアントワープのちょうど中間点に位置しています。港町だったアントワープから首都メレッヘン迄の鉄道だったんですね!
現在のアントワープ中央駅舎は3代目の建物です。ツーリストやマニアの間で「鉄道の大聖堂」と呼ばれる立派な駅舎が人気です。荘厳かつ重厚な鉄骨とガラスで構成された巨大なドームと8つの塔をもつネオバロック様式が特徴的です。デザイン設計はベルギーのもう一つの港町ブルージュ出身の建築家ルイ・デラセンセリによるものです。時のネーデルランドを支配したレオポルド2世の命によって1895年に着工され、約10年の歳月をかけ1905年に完成しました。
駅舎を囲う高さ43メートル、横幅幅66メートルの鉄とガラスで構成された屋根はクレメント・ヴァン・ボガードによって設計デザインされました。1800年代の建築物はベルギー国指定の重要文化財にも指定されています。アントワープの駅舎は「ヨーロッパの最も美しい駅」(StedenTripper.com)、「世界の最も美しい駅」(Travel & Leisure)にも選ばれています。出来た当初はアントワープを折り返しにした終点の駅でしたが、1998年より地下鉄工事を行い通過できる地下鉄道を引き込み現在の4層構造になりました。現在パリ-アムステルダムを結ぶ高速鉄道タリスでブリュッセル経由でロンドンやパリなども比較的簡単に行き来できます。