ダイヤモンドの蛍光性は美しさに影響を与えますか?
蛍光性はダイヤモンドの全体の約20%が持つ個性
婚約指輪で人気のダイヤモンド、大切な人への贈り物のダイヤモンドには美しい物を選びたいですよね。希少なダイヤモンドの選定に4C評価も大切ですが、美しさと言う観点では原石の品質や研磨者の腕前もとても大切です。また天然ダイヤモンドの中には蛍光性と言う不思議な性質を持つダイヤモンドが有ります。すべてのダイヤモンドに蛍光性が有るわけではなく全体の約20%程度が蛍光性を持っていると言います。ダイヤモンドの蛍光性とは長波紫外線に対する反応色を調べて調査されるダイヤモンドが持つ光の特性の事です。
現在の所白いダイヤモンドで青色蛍光のダイヤモンドはやや安価に取引されるマイナス要素としてカウントされているようです。これはカット技術が未熟だった1990年以前の慣習を引きずっていて、黄色のダイヤモンド(当時はアフリカ産メインだったためダイヤモンドのカラーグレードハイカラーは大変希少だった)で青色蛍光のダイヤモンドはボディーカラーがやや白く見える事から4Cを誤診している鑑定機関が有り一つカラーグレードを下に評価して価格決定していた事の名残と思われます。
天然ダイヤモンドの蛍光性はその発生原因等は不明です。その為に合成ダイヤモンドに意図的に蛍光性を発揮させることは困難です。また現在の所、合成ダイヤモンドが発揮する蛍光性は短波紫外線に対してのみで宝飾用の検査機で使用する長波紫外線には無反応となります。天然と合成ダイヤモンドでは発輝される蛍光性に大きな違いが有るのです。蛍光性はその発生原因その物が不明な為に神秘的な現象です。今後何らかの発見や技術革新によっては再現可能になるかもしれません。ダイヤモンドの蛍光性とオイリーの関係
その昔、蛍光性が有るダイヤモンドはダイヤモンドに白い靄がかかった様な見た目になる事から【オイリー】と呼ばれて敬遠される傾向が在りました。しかし、オイリーはカットグレードが改善されるに従って見なくなりました。これはカットグレードが上昇するとダイヤモンドの光の利率が上がって蛍光性によって起こる光のハレーションが起きにくい事によると言われています。事実カットグレードエクセレントのダイヤモンドで強い蛍光性を持っていたとしても不思議な事にオイリーが観察できる事は在りません。
エクセレントに仕上げられた場合に丸型のダイヤモンドでは気にしなくて良くなったオイリーですが、小判型や四角、しずくやハートなどカットグレードが未導入の変形ダイヤモンドでは強い蛍光性を示すダイヤモンドはオイリーとなる事がありますので、お求めになる場合に蛍光性のチェックは必須です。変形ダイヤモンドでは多くの場合美しさよりもカラット(重さ)重視で仕上げてあることが多いので見た目の美しさは最重要項目と言えます。
また、ダイヤモンドのカット研磨の技術が未熟だった1990年代までは強蛍光性のダイヤモンドはやや敬遠されていたのですが、現在では実際の美しさの差は無いものの業界の慣習として強い蛍光を持つダイヤモンドを敬遠する石屋も多いようです。その為ブライダル品質のダイヤモンドの中で強い蛍光性を示すものは逆に希少と言えます。もしも強蛍光のダイヤモンドに出会った場合は店内のライトはもちろんの事、自然光の下でどの程度蛍光色が発揮されるのか?の目視チェックは大切です。その上で美しいと感じるダイヤモンドを選ぶことが大切です。
青色蛍光のダイヤモンドはサムシングブルー!?
ダイヤモンドの蛍光反応色は様々ありますが、その中で最も多いのが青色です。中には赤や緑の蛍光を示すダイヤモンドも有り蛍光する反応色にもそれぞれに希少な色が有ります。個人的に黄色のダイヤモンドでは黄色い蛍光性がおススメですし、茶色や緑のダイヤモンドであれば同系統の蛍光性が望ましいと思います。ブライダル品質のダイヤモンドでは青い蛍光性は【サムシングブルー】として誰にもばれないように身に付ける事のできる”青い物”としてメインストーンのダイヤモンドを置き替える事も出来るのでとってもロマンチックです。
BRIDGE銀座でも稀に専属研磨師フィリッペンスベルト氏が選び抜いたダイヤモンドでワザと強蛍光のダイヤモンドを仕上げる事が有ります。2020年までの7年間で僅かに3ピースですが販売させていただいたことが有ります。そのどれもが蛍光性はダイヤモンドの個性として発輝され、蛍光性が有る事で魅力的な仕上がりになっていたと記憶しています。
以下蛍光性の表記方法None なし
Faint フェイント弱い
Medium 中程度
Strong 強い
Very Strong とても強い