ダイヤモンドの産地についてロシア・カナダ・アフリカと産地で迷っています。
ランオブマイン産地によって異なるダイヤモンドの特性
婚約指輪エンゲージリング選びで大切なダイヤモンドの選定。エンゲージリングのセンターにセッティングされるダイヤモンドはなるべく美しく輝くダイヤモンドを選びたいですよね!?
ちなみにダイヤモンドの品質を定めるGIAによる国際基準4Cでは、研磨済みダイヤモンドは産地による価格の差が無い事に成っています。お店単位でも「○○産なので高額です」とは成っていないのではないかと思います。研磨済みダイヤモンドの価格は産地毎ではなく国際的な評価基準4Cによってその価値が決められているからなのです。ですから今の所ダイヤモンドを産地で選ぶという概念は一般的ではないのではないでしょうか?また産地オリジンは鑑定鑑別機関では特定できませんので、鉱山会社と直接的に取引している場合の除き産地を特定して販売することが現在のルールではとても難しいことではあります。
グリーンベールに覆われた8面ソーヤブル
しかしダイヤモンドは地上に運ばれてから発見されるの長い時間を過ごしている土地の影響を少なからず受けています。二次鉱床のダイヤモンドは浸食され角が丸く結晶形が判りません、また一次鉱床のダイヤモンドも地上に上がってきてから炭素の表層部分に別結晶が被膜を作って特徴的な見た目になっているものも少なくありません、ボツワナ産のダイヤモンドで言えば産出中最も多い結晶形は6面でアフリカ産特有の黄色の原石では無く緑色の被膜に覆われた結晶が含まれます。ダイヤモンド原石のディーラーはこうした特徴を見て産地を言い当てる事が出来ます。この外部特徴をランオブマインと呼びます。ランオブマインではボツワナの8面結晶でグリーンベールに覆われたダイヤモンド原石は特に上質で高品質である事が知られています。
一部GIAやその下部組織で産地オリジンを鑑定して記載する動きも有りますが、そのマッチ率は100%ではありません(最大で90%、GIA以外では60%程度、、、とも)ダイヤモンドのエキスパートデビアスグループでは2030年までにダイヤモンドの産地証明をすると表明しています。トレーサビリティは生産者しか最終的に証明できません。生産者方直接買い付ける以外で第三者の入れる余地は少ないのです。2025年までにデビアスでは原産地を明確にしたダイヤモンドの取引を完成させると発表していましたのでそれに期待した方が良いかもしれませんね、GIAの産地オリジンサービスはカナダ、ボツワナ、ナミビア、南アフリカの4カ国産に限って展開されているのですが、これはデビアス管轄のダイヤモンド鉱山の情報をGIAラボが解析して行うサービスでもあり、精度が上がってくれば第三者サービスではなく原産地を管理する鉱山企業であるデビアスその物が産地を証明する方が話が早いですね。BRIDGEではデビアス鑑定を取り扱っていますので恐らくそこが最初のオリジンレポート付として発表される筈です。
それでもダイヤモンドの美しさは原石と研磨者で決まる!
ダイヤモンドが最も産出している国がロシア産ですので市場に最も多く出回っているダイヤモンドがロシア産と言えます。BRIDGE銀座アントワープブリリアントギャラリーではボツワナを中心としたアフリカ産を取扱います。それはダイヤモンドの原石品質においてボツワナをはじめとするアフリカが良いとされているからです。ダイヤモンドの業界の格言で「美しい物はアフリカから」有名な言葉です。
ダイヤモンド業界内で有名な話として、ロシア産等の産地不明とアフリカ産のダイヤモンドを同じ袋に入れておいた場合にアフリカ産が一方的にロシア産などの産地不明ダイヤモンドを傷つけていきます。これは結晶の密度の問題なのか?アフリカ産(南アフリカ、ボツワナ、ナミビア、ジンバブエ、コンゴ等)の方が実際の硬度が”硬い”ことを現しています。
加えてオーストラリア・アーガイル鉱山産のダイヤモンドも硬いことで有名です。アーガイル鉱山創業当初、オーストラリア産のダイヤモンドを研磨できるサイトホルダーは少なく、アーガイル産ダイヤモンドは他産地に比べても硬すぎる為、加工が出来ず宝石として流通させる事が出来ませんでした。その為オーストラリア産は宝石品質では無い低品質である等ど言われていた時期が有るほどです。オーストラリア産で有名な稀少なピンクダイヤモンドも硬くて研磨が難しいのです。南半球と北半球ではダイヤモンドの硬さに明確な差が有る様なのです。
エシカルで倫理的なダイヤモンド採掘とは
※ダイヤモンドの鉱山は採掘終了後に鉱山を元の自然環境に戻す約束で掘っています。ロシア(サハ共和国産)のダイヤモンド鉱山は永久凍土(ツンドラ)を核爆破してその下に眠る地下資源を採掘しています。1980年代に行われた平和的な核発破の幾つかは逆火(失敗)し周辺地域を放射能汚染してしまいました。汚染は同地域の水源にも広がり鉱山で働く工夫や周辺住民の環境は劣悪となってしまったのです。そしてその直後ソビエト連邦は崩壊し連邦から解放された小さな国々が突然小さな後進国として国際社会に出現したのです。外貨獲得手段として地下資源を掘り進めるほか手段の無いサハ共和国へ私たち先進国はの支援を受けながら地下資源採掘を継続、現在に至っています。しかし倫理的に地球温暖化と自然破壊に配慮しないこの採掘方法には世界中から疑問が投げかけられています。しかし、生活の糧を失えない現地では今も被ばく量をコントロールしながらの採掘が進められているのです。
私たちはツンドラの永久凍土を元に戻すことは現在の技術ではできない事と、放射能汚染しても経済活動を止めない非民主主義的な考え方、また永久凍土を核爆破したツンドラの下からは大量の温室効果ガスが発生している事から、小さな抵抗とは思いつつロシア産ダイヤモンドを採用していません。こうした理由でデビアスも1997年以降ロシア産ダイヤモンドを取り扱いませんし西側諸国のセレブや知識人、王侯貴族はエシカルでクリーンな産地のダイヤモンドを選ぶのです。フィリッペンス・ベルト氏の感覚
ダイヤモンド研磨の現場ではどのようなイメージなのかをフィリッペンス・ベルト氏にインタビューしてみると、ロシア産やカナダ産のダイヤモンドを研磨する場合に、「スル~スル~」と研磨できる印象だそうです。対してアフリカ大陸産のダイヤモンドは「ギシギシ」していて総じて「硬い」と言います。研磨者のイメージでも容易に研磨できないアフリカ産と比較的容易に研磨できるロシア、カナダというイメージがあるようです。実際にフルカット58面体のダイヤモンドを研磨するのに2~3倍の時間がかかります。
これはロシアやカナダのダイヤモンドの方が結晶が整列していて素直で研磨しやすいと言う事だそうです。対してアフリカ大陸産は結晶がそれに比べて密度か高いのか感覚として研磨しにくいのだそうです。原石の品質が並同士のロシア・カナダ産とアフリカ産とではロシア・カナダの方が「美しく仕上げやすい」と言います。しかしTOP品質で比較した場合はアフリカ産のダイヤモンドの美しさは頭一つ抜け出してきます。
※あくまでダイヤモンド研磨を担当するベルト氏の感覚値での話です。しかし「美しいものはアフリカから」という格言がダイヤモンド業界にあることも事実です。
そうしてもう一つ注目すべき点はベルト氏の選定するダイヤモンド原石は”美しい”という事です。ダイヤモンドを含む宝石類の”光や輝き”とは何でしょうか?それは宝石の彩度、明度、そして輝きの温度の3つの要素で決まります。ベルト氏は原石選定をパッと見た美しさで決めています。そして仕上がってくるダイヤモンドは総じて彩度が高く鮮やかな虹色で、ダイヤモンドの輝きのモザイクは明るく、暖かい光を放つ、様に仕上がっています。ダイヤモンドを選別する仕事をしたことある人なら誰もが「綺麗だ」と感じるダイヤモンドを仕上げて来るのです。フィリッペンス・ベルト氏の原石を見抜く審美眼はあくまでもベルト氏の感覚なのですが、絶対的に美しいダイヤモンドを無抜く目は世界中の誰より優れていると言っても過言ではないのです。
【希少性=4C】【美しさ=原石と研磨】
「硬いとは?」いったいどういう事なんでしょうか?これは一般的に結晶の整ているロシアやカナダ産と比較してアフリカ産が結晶の歪みが多い事が原因ではないかと思われていたのですが、ベルト氏のイメージでは粒子の細かさの問題ではないか?と考えているようでした。
低品質の原石ではこのセオリーは通用しないのですが、結婚指輪用等の高品質ダイヤモンド原石ではボツワナ産も一般的なロシアやカナダのダイヤモンド同様に結晶は美しく整っていて素直に整列しています。その上で硬いという事はそれだけ炭素原子の距離が近く高密度で結晶していると言い換える事が出来ると思います。
ベルト氏はまさにこの事を指摘しているようでした。高密度の物質を研磨した場合、表面の滑らかさは高密度であれば高密度であるほど”平ら”になり、それはダイヤモンド表面に当たって跳ね返るシンチレーションにおいてより強い光を跳ね返すと言う事です。ダイヤモンドの美しさはその”硬さ”から発揮されるので、より硬い高品質のボツワナ産ダイヤモンドが最も美しいと評価され、原石の価値が高い理由はそうした部分にあるのかもしれません。
アフリカ産=南アフリカ、ボツワナ、ナミビア、ジンバブエ、コンゴ等