ハートアンドキューピッド(H&C)とは?
完璧な対称性を目視できるハートアンドキューピッド
ダイヤモンドのモザイク模様の内、光のコントラストが鮮明に成る事で美しさは確実に上がるハートアンドキューピッドは研磨の対称性とファセットラインの一致と言うそれ迄、誰も気に留めていなかったダイヤモンド加工の基本的な要素を整える事で出現しました。ダイヤモンドの美しさの内、光のパフォーマンスでコントラストは非常に大切なテーマです。コントラストが下がるとダイヤモンド全体の明るさは上がっていきますが人間の目は単純に明るさがあかったから美しくなったとは感じないようにできています。ハートアンドキューピッドは輝きに強い濃淡を生み出し美しさを向上させる重要な要素なのです。
ハートアンドキューピッド(H&C)は1993年に登場したダイヤモンドの対称性を見るために有効な検査方法です。ダイヤモンドを専用のスコープで観察するとフェイスアップ(正面)からは8本の矢模様がフェイスダウン(裏面)からは8個のハートが出現するとっても幻想的な光のパターンの事です。
開発者はアントワープブリリアントの専属研磨氏「フィリッペンス・ベルト氏」達のチームです。H&Cは1990年に誕生したエクセレントカットのダイヤモンドを数多く検査していく中で偶然発見された模様で、ダイヤモンドに優れた研磨技術を施して初めて出現する模様です。
H&Cはそれまで研磨の世界で誰も気に留めていなかったガードルを挟んだクラウンとパビリオンファセットの連続性を重視した研磨法から発見されました。そして正確無比な各ファセットエッジの対象と合同、まさに研磨職人の技術の結晶なのです。恋のキューピッドに射抜かれた8個のハート
ハートアンドキューピッドのダイヤモンドを中央宝石研究所で鑑定した場合は専用のレポートが添付されます。一生の思い出の品物に恋のキューピッドが射止めたハートが隠されているなんてとってもロマンチックですね!IIDGR鑑定書には添付されていませんでしたが2020年以降のデビアス鑑定ではハートアンドキューピッドがレポートされるようになりました。
ハートアンドキューピッド(H&C)を創り出した鬼才”フィリッペンス・ベルト氏”
1990年にエクセレントカット1993年にハートアンドキューピッドを立て続けに達成したダイヤモンド研磨界の天才「フィリッペンス・ベルト氏」1919年にダイヤモンドデザインの中で発表されたトルコフスキー案の図面にはパビリオンファセットやクラウンファセットの一致などの条件はなかったため、(そもそもスターファセットやベゼルファセットの役割については、あまり触れられておらず、不完全な理論だったが光の反射という光学的な発表はダイヤモンドの輝きを考えるうえで当時としては非常に重要だった。)しかも1988年にGIAの発表したダイヤモンドの最高グレードエクセレントにもその条件は盛り込まれませんでした。それまで誰もダイヤモンドの対称性やクラウン部分とパビリオン部分のガードルを挟んだファセット稜線の一致や連続性などに気を留めていなかったのです。
そもそもGIAのエクセレントカットを達成した時にハートと矢の模様が後から発見されたのですから当たり前と言えば当り前ですね。現在も現役でダイヤモンド研磨に携わるベルト氏、開発者本人の研磨したハートアンドキューピッドを記念のダイヤモンドにしてみてはいかがでしょうか?
※フィリッペンス・ベルト氏の開発したハートと矢模様のモザイクパターンは当初別の名前で呼ばれていましたが、現在は商標の問題でハートアンドキューピッドと呼びます。ハートアンドキューピッドは中央宝石研究所の登録商標です。
※優れた研磨技術の結晶であり、愛の逸話をいくつも持つハートアンドキューピッドパターンですが、ダイヤモンドのカットグレードの内シンメトリー(対称性)が特に優れていれば、G.I.A.カットグレードがエクセレント以下のベリーグットでも、クラウンとパビリオンのファセットの先端が一致している事や、複数存在する同種のファセットの形が合同一致している状況であれば実はハートアンドキューピッドパターンは出現することが分かっています。