「父母も私たちも感動…涙もろい家族になりそうです」
父、娘、婿、母と順に手を重ねたセレモニーの記憶
実香子さんは親族が待ち望んでいた女の子で、親族中から可愛がられて育った。子煩悩な父はなおのこと。遠距離恋愛中の娘に対し「結婚なんてまだ早い」と少々不機嫌な様子だったが、いよいよ健人さんがあいさつにくると「私たちの宝物なのでよろしくお願いします」と目を赤く腫らして頭を下げた。寂しくも嬉しい涙は連鎖し、父母と新郎新婦、4人そろって泣いてしまったそう。「涙もろいだから結婚式はどうなる?」と予想していた通り、あったかい涙が溢れる一日になった。
チャペル前でゲストを迎える母は、娘の友人が祝福に来てくれたことに喜びの涙。扉が開きベールダウンをすると、花嫁姿に感動しつつも寂しい涙。向き合う娘も目を潤ませた。神妙な面持ちの父が、自ら望んだ娘とのバージンロードをゆっくりと歩く様子を、新郎はみることができず、そっと遠くを眺めた。そして祭壇前で父、新婦、新郎、母と順番にてを重ね合わせるセレモニーでは一つも言葉はなく、心行き交う一瞬に。厳かな式後、退場する新郎の涙にゲストは少しどよめいた。「遠方から来てくれたみんなの顔が見えて、幸せに思えたんです」。素のままに心開き、涙を見せ合う、素敵な家族が誕生した。
<平成29年6月23日発売 第25巻第8号通巻340号 掲載>