銀座の結婚指輪BRIDGEのブログ

ダイヤモンドカット

こんにちはBRIDGE銀座アントワープブリリアントギャラリーです。今日は店頭でよく聞かれるダイヤモンドの加工、特にテーブルカットについて書いてみます。弊社で8面体原石のダイヤモンドを2つに切断(カット)してみました。

レーザー技術で切断していますのでグレインや劈開、成長線を無視してダイヤモンドを焼き切っています。

ダイヤモンドの加工はカット(切断)→ポリッシュ(研磨)という順に行われます。現在では上写真の様にダイヤモンドをカットする場合は強震度レーザーを用いてダイヤモンドを焼き切ります。強震度レーザーでダイヤモンドを切断するにはそこ迄時間を必要としません、焼き切りますので、レーザー技術が未熟だった90年代はダイヤモンドが焦げてしまったり、焼き目が付いてしまったり、レーザー加工にも少しはリスクがあったのですが、現在ではそう言ったことも無く安全に迅速にダイヤモンドを切断する事が出来るようになってきました。最近耳にする”双子ダイヤモンド”等はこうした技術が有って成り立つものと思われます。(レーザーを持っていないサプライヤーが双子ダイヤモンドを謳っている場合もあって複雑です。)鑑定鑑別機関で双子ダイヤモンド、元々一つの原石でしたと証明する証明書を発行する場合もダイヤモンドの成長線の一致というのが大きなポイントとなるそうです。しかし、この成長線は原石の目が整っていれば整っているほど一致率は高くなり、逆に不一致、別々の原石から切断されたダイヤモンドであると証明できないと逆説的に同じ原石である可能性も否定できないという事から証明書を発行しているそうです。)

レーザー技術が確立されていない1990年以前

ダイヤモンドの切断はソーイングブレードを使って”切断する”か、もしくはグリーピング技術を使って劈開方向に”叩き割る”の2種類でした。ソーイングする場合、ダイヤモンド内部の劈開がねじれていたり、ダイヤモンドを内包物として含んでいて劈開が不完全になったり、成長線が無視できないグレインを形成していたりすると、途中で切断用のブレードよりダイヤモンドの硬度が上回ってしまい切断が出来なくなってしまいます。その為、ソーイングブレードの動力が弱かった70年以前は非常にリスクが高くダイヤモンド原石の加工技術としてはグリーピング技術が全盛でした。その為、グリーピング技術を持つ職人【ダイヤモンドカッター】は唯一無二の存在として業界内でも尊敬を集めていました。歴史的なサイズのダイヤモンドをカットした職人はダイヤモンドのへき開や成長線グレイン、内包物位置など様々な要素を見定めてダイヤモンドを切断する事から非常に限られた一握りの職人の仕事だったのです。

しかしレーザー技術が確立されてくると劈開を利用してダイヤモンドをグリーピングする”ダイヤモンドカッター”という職業は技術の進歩によって不必要となってしまいます。有名なダイヤモンドカッターが皆、過去の人物で、現役の名工として名のあるダイヤモンドカッターが何処にも居ないのにはそうした理由があるのです。

ダイヤモンド双子カット

因みに上写真の様に1990年に弊社でもダイヤモンドをソーイングブレードで切断したことが有ります。1990年は私も駆け出しでまだまだダイヤモンドの事も良く判っていませんでした。お客様からの依頼でソーヤブル原石を2つに切断、そのままマリッジリングにセッティングいしてほしいということに成ったのです。早速その依頼をサイトホルダーにかけたところ、、、ものすごい難しい事を簡単に受けてしまったとサイト側の反感を買ってしまったのを今でも覚えいます。

1990年の挑戦

それでもお客様オーダーには全力で答えるのが私たちですので、なんとかサイト側を説得してソーイングすることに成ったのです。1990年ですからソーイングブレードの動力も今と遜色ないハイパワーの最新型マシーンでしたが、直径7㎜のダイヤモンド原石を2つに切断するのに、なんと丸7日(168時間)かかったのです。1mm切断するのになんと24時間!そのことを事前に知っていたサイト側が反発するのも無理はないですよね?しかも切断中に出る摩擦熱を常に取りながらの作業になります。ダイヤモンドを切断する際に出る摩擦熱は切断面の反対側に焦げ(バーンマーク)となって残る場合が有ります。高品質なダイヤモンドでバーンマークは加工失敗と判断される避けたい結果です。サイトは7日間細心の注意を原石に払い続ける必要があったのです。今では笑い話ですが当時出来上がったダイヤモンドを誇らしげに見せられた覚えが有ります。

グリーンベイルに覆われた高品質ダイヤモンド原石たち

ダイヤモンドの加工でカットする作業は機械化が進みましたが、研磨する作業は、手先に伝わる僅かな情報を頼りにする繊細な作業です。研磨し過ぎてファセットに確度が付きすぎれば光の利率が落ちてしまいます。そうした複雑に複合しあう要素を同時に求める研磨は現代でも職人の作業領域なのです。ダイヤモンドの美しさは【原石と研磨者】で決まるのです。ダイヤモンドの加工は超硬素材であるがゆえに常に技術の最先端を求められてきた歴史でもあります。「ダイヤモンドを制する者は世界を制する」格言は今も生きているのです。

 

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