BRIDGE ANTWERP > スタッフブログ > 魔よけ石(タリスマン)としてのダイヤモンド
銀座の結婚指輪BRIDGEのブログ

皆さんこんにちは!ブリッジ銀座アントワープブリリアントギャラリーです。

今日はダイヤモンドの伝説を一つご案内したいと思います。ダイヤモンドが人類史に初めて登場するのは紀元前7世紀です。古代インドの帝国ではダイヤモンドを身分制度の証として用いていました。発見された紀元前7世紀から15世紀までの2200~2300年間ダイヤモンドは加工できませんでした。実際には簡単な表面研磨加工は施していましたが、劈開を使ってダイヤモンドを割って形を整える事が出来なかったのです。へき開する事はすべてのダイヤモンドで可能でしたが、インド近郊の二次鉱床で発見されるダイヤモンドは原石の形状が正確に把握できない丸く角が磨かれた状態で発見されますので、原石が6面なのか8面なのか12面なのか?それともその複合なのか?が外観からは読み取れず、その為に8面だと思って6面のダイヤモンドをへき開しようとすると”思わぬ方向に砕けてしまう”事に成り、容易に加工が出来ませんでした。1866年にアフリカでダイヤモンドの交渉が見つかるまでの2500年間に人類が手にしたダイヤモンドの総量は10万カラット、その内宝石品質は約4割4万カラットです。4万カラットを2500年で割ると、、、平均して年間16ct程度しか発見する事が出来ない超貴重な宝石がダイヤモンドでした。しかもルビーやサファイヤと違いダイヤモンドの生成条件は過酷ですが、当時はそんな事が判りませんでしたのでキンバーライトパイプが風化によって崩れ雨や風に運ばれ堆積したり、一度は地中深くに移動した地層が何らかの拍子に地上へ飛び出したりした、その場所に偶然ダイヤモンドが無いと発見に至りませんでした。1866年まではダイヤモンドは”いきなり落ちている可能性”が世界中に有る神秘の宝石だったのです。冒険家や宝探しを生業にする”トレジャーハンター”等が普通に職業として成りてってしまうのです。

世界で一年間に平均16ctしか見つかりませんので、コイヌール等の100ct以上の巨石もそこに含まれますので、10年間採掘無しなどもざらであったと推測されます。しかも結晶形が判らない為に安易に劈開できない事からダイヤモンドは”征服されざる者”と言う語源を持っています。人々はその比類なき硬さに魅力を見出したのです。硬い事からくる耐久性に次いで、ダイヤモンドは稀少性が着目されていきます。1866年まで世界全体のダイヤモンドの総算出量10万カラットとはごく限られたものであったのです。稀少性は価値と直結します。必然的に社会の上層階級、それも非常に限られた者たちのみがダイヤモンドを保有する状況が簡単に作り出されたのです。最初はインドの皇帝たちが身分制度として保有し、それは徐々にヨーロッパにももたらされます。紀元50年頃の学者プリニウスは、「宝石は言うにおよばず、人間の財産のうちでもっとも貴ばれるのはアダマスである。これは長い間国王たちにだけ、それもその少数の者にだけしか知られていなかった」と記しています。ローマの将軍でもあり高い身分のプリニウスですらこう記していますのでダイヤモンドを持つ事がどれほど特別だったのか?を現しています。

一方で、高すぎる稀少性は伝説や噂なども様々生み出してきます。それは特に特権階級に憧れを持つ一般民衆の間で広まっていきます。こうして一般市民にダイヤモンドは神秘の石として知覚されていくのです。一部の特別に身分の高い人にとってのカースト制同様のダイヤモンドを除くと古代インドにおける発見以来、長らくダイヤモンドは宝石ではなく、むしろ超自然的な力を持った魔除け石(タリスマン・talisman)として珍重されていきます。ダイヤモンドには病人を治療する、狂人の正気を取り戻す、作物を天災から守る、等々、ダイヤモンドには数々の魔力が語られた逸話が存在します。そしてそれらは力を発揮しなかったとき”偽物であった”として取り扱われます。その中の一つとして、西欧の13世紀にローマカトリック教会で絶大な権力を持っていた聖人アルベルトゥス・マグヌス(Albertus Magnus)はダイヤモンドについて、「体の左側につけておくと、敵に対して驚くべき作用をし、理性を保ち、獰猛で有毒な猛獣を退散させ、暗殺を望み何度も企てる者の謀略を防ぎ、諍いや裁判沙汰を終結させる。しかもこの石は毒薬や悪霊に対して効果がある」と記しています。どうしてそんなことに成ったのか?は全く不明です。それでもそれだけの権力者をしてそこまで言わせるダイヤモンドと言う宝石の持つ”魔力(魅力)”こそ本当にすごい事だと感じます。

15世紀にブルゴーニュ公国のシャルル突進公がダイヤモンドこそ権力の象徴と疑いなく思っていた事もダイヤモンドの持つ特性から考えれば至極当然なのかもしれません。

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