BRIDGE ANTWERP > スタッフブログ > 30日後に成功するサプライズプロポーズ:第15話「いざ、伊香保へ」
銀座の結婚指輪BRIDGEのブログ

いざ、伊香保へ

都内の朝はまだ肌寒く、春の訪れを感じさせながらも、時折冷たい風が頬をかすめる。大也は車のエンジンをかけると、瑞樹の乗る助手席をちらりと見た。彼女は黒のトレンチコートに身を包み、膝の上に小さなバッグを乗せながら、スマホをいじっている。

「じゃあ、行こうか。」

「うん。」

30日後に成功するサプライズプロポーズ:第15話
春の陽射しが柔らかく降り注ぐ午前中、大也の愛車RX450hは関越自動車道を北へと走っていた。車内にはJ-POPのポッドキャストが流れ、静かなメロディが緊張した空気をわずかに和らげている。

運転席の大也は、ハンドルを握る手にわずかに汗を感じていた。今日はついにプロポーズを決行する日。温泉旅行という名目で瑞樹を伊香保温泉へ誘い、夜にはサプライズで指輪を渡す。そのはずだった。

ちらりと助手席に目を向けると、瑞樹は窓の外を見つめていた。彼女の表情は穏やかではあるが、どこか落ち着かない様子が見て取れる。瑞樹も、何かを感じ取っているのだろうか。何気なく目を伏せ、ポッドキャストの音量を少し上げる。

プロポーズのことを意識すればするほど、大也の心は妙にざわつく。隣に座る瑞樹も、どことなくそわそわしているように見えた。

車内にはJ-POPのポッドキャストが流れていた。軽快なリズムのはずなのに、二人の間にはどこかぎこちない空気が漂っている。

「なんか、静かだね。」

瑞樹がぽつりとつぶやく。

「そうか?」

「うん。いつもなら、もっとしゃべってる気がする。」

「まあ……なんとなく、な。」

それ以上の言葉は出てこなかった。

瑞樹がこの旅行の本当の目的を察しているのかは分からない。でも、もしかしたら彼女も何かを感じ取っているのかもしれない。そう思うと、大也の緊張はますます高まっていく。

運転に集中しようと、前方に視線を戻す。だが、信号待ちのたびにふと脳裏をよぎるのは、茜と古田との作戦会議のことだった。


「温泉宿でのプロポーズって、すごくロマンチックよね。」

「ただの宿泊じゃなくて、特別な演出を入れた方がいいんじゃない?」

「例えば?」

「夕食後、夜の温泉街を散歩しながら、縁結びの神社に立ち寄るのはどう?伊香保だったら、伊香保神社とかいい感じの場所があるし。」

「神社の境内でプロポーズ?」

「うん、夜だと人も少ないし、静かな雰囲気の中で『これからもずっと一緒にいたい』って言われたら、絶対に感動すると思う!」

「なるほどな……。」

「まあ、それか温泉旅館の部屋でしっぽりと。」

「それだと普通すぎる気がする。」

「じゃあ、貸切露天風呂で!」

「いや、それは……!」

「冗談よ。でも、どんな形であれ、瑞樹ちゃんが喜ぶシチュエーションを考えておくのが大事。」


瑞樹は助手席でスマホをいじるふりをしながら、ちらりと運転席の大也を盗み見た。
ハンドルを握る彼の横顔は、どこかいつもと違う。
いつもなら「お昼は何食べる?」「サービスエリア寄る?」なんて軽い会話をするのに、
今日の大也は、なんとなく口数が少ない。

(もしかして……)

瑞樹の胸が高鳴る。
彼の様子がいつもと違う理由は、なんとなく察しているつもりだけど、、、
考えても仕方がないので気分を変えてみる

「ねぇ、大也?」

「ん?」

「伊香保って、私、久しぶりなんだよね。前に行ったの、大学の友達とだったかな。」

「ああ、そうなんだ。俺も久しぶり。最後に行ったのは……たぶん家族旅行の時だな。」

瑞樹は懐かしそうに微笑んだ。「伊香保の石段街、まだ変わってないかな。」

「たぶん、昔と変わらないと思うよ。温泉饅頭の店とかもそのままじゃないかな。」

「あ、温泉饅頭、いいね。」

ようやく少し会話が弾んできたが、それでも二人の間にはどこかぎこちなさが残る。まるで、何か決定的なことを言い出せずにいるような空気だった。

再びポッドキャストの音だけが車内に流れる。流れてきたのは米津玄師の新曲「Plazma(プラズマ)」。大也の好きなアーティストだ。普段なら思わず口ずさんでしまうのに、今日はそんな余裕もない。

「ねえ、大也。」

「ん?」

「この旅行、なんか特別な理由があるの?」

瑞樹が、スマホから視線を上げてじっとこちらを見つめてくる。

「いや……まあ、付き合って3周年記念だし?」

「ああ、そうか。うん、それもあるね。」

「なんだよ、その言い方。」

「別に。ただ、大也が妙に緊張してるから。」

瑞樹はくすっと笑った。その笑顔に、大也の心は少しだけ和らぐ。

「ねぇねぇ、大也くーん?」

「ん?」

「今日……なんか、変じゃない?」

「えっ?」

瑞樹がじっと大也を見つめる。「なんか、そわそわしてる気がする。いつもなら、もっと普通に話してるのに。」

大也は一瞬ドキリとしたが、すぐに苦笑いを作った。「そ、そうか? たぶん、ちょっと運転に集中してるだけだよ。」

「そう?」瑞樹は少し疑わしそうに目を細めたが、それ以上は何も言わなかった。

その後、再び沈黙が訪れた。大也は思わずハンドルを強く握る。(バレてるのか?いや、まだ大丈夫だよな……?)

そうしているうちに、車は関越道を降り、伊香保温泉へ向かう山道へと差し掛かった。カーブが増え、景色は次第に山の緑へと変わっていく。

「伊香保の春って、気持ちいいね。」瑞樹が窓を開ける。

「そうだな。」大也も少しだけリラックスし、深呼吸する。

(だめだ、考えれば考えるほど、緊張してくる……)

今日、いよいよプロポーズをする。
数週間前から茜と古田にアドバイスをもらいながら練った計画。
すべては今日、この旅のクライマックスで実行するのだ。内容を整理する。

──大也が立てたプロポーズの予定は、こうだ。

ホテルにチェックイン
 まずは旅館に着いたら、部屋で少し休憩。
 瑞樹にリラックスしてもらうためにも、最初から気負わせるのは避ける。

石段街を散策
 伊香保の名物・石段街を一緒に歩き、温泉饅頭でも食べながら楽しく過ごす。
 軽く観光を楽しむことで、二人の空気をほぐすのが狙い。

ホテルに戻って夕食、場合によっては風呂
 美味しい食事を楽しみながら、自然と会話が弾むように。
 温泉に入るのは二人のタイミング次第。

もう一度夜の散策へ
 夜の石段街は昼間とは違い、しっとりとした雰囲気になる。
 人通りも落ち着くので、プロポーズのタイミングを作りやすい。

伊香保神社の境内でプロポーズ
 縁結びのご利益がある伊香保神社。
 ここで、満を持して瑞樹に指輪を差し出し、プロポーズをする。

考えただけで、心臓がバクバクする。
果たして、この計画はうまくいくのだろうか?

(いや、やるしかない。今日が勝負だ。)

大也は深く息を吸い込み、ゆっくりと吐き出した。
ちらりと助手席の瑞樹を見る。
彼女はスマホの画面を見つめていたが、その視線がどこか落ち着かないのを感じた。

(瑞樹も……なんとなく、察してるのか?)

その可能性が頭をよぎる。
でも、それならそれでいい。
サプライズとはいえ、大事なのは「驚かせること」じゃない。
「ちゃんと伝えること」だ。

気づけば、伊香保温泉の看板が見えてきた。
温泉街へと続く道を進みながら、大也はそっと左手のポケットを触った。
その中には、先日ブリッジ銀座で古田から受け取った小さな箱が入っている。

(……頼む、うまくいってくれよ。)

彼の胸の中で、緊張がさらに高まっていった——。

→第16話


第1話「休日のカフェ、揺れる想い」

登場人物:大越大也(おおこしだいや)埼玉県大宮市出身の30歳、趣味はドライブと釣り、行動力が有り何事もまずはやってみるタイプ。
松本瑞樹(まつもとみずき)神奈川県出身29歳、高校時代は名門野球部のマネージャーだったお姫様キャラ。慎重派でよく考えてから行動するタイプ。
瑞樹の友人の茜(あかね)29歳、瑞樹とは高校時代からの地元の友人で気心が知れている。大也とも面識が有り
茜の友人古田あやか(ふるたあやか)茜の大学時代の友人、ブリッジ銀座のスタッフでJJA公認ジュエリーコーディネーター年間100組以上のサプライズプロポーズをプロデュースしている。
山本健司(やまもとけんじ)大也の会社で同期の同僚、同期の中でいち早く結婚に踏み切った。お相手は高校時代からの彼女。

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