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銀座の結婚指輪BRIDGEのブログ

第26話:ふたりの新居探し

「こっちの物件、見に行ってみない?」

瑞樹が差し出したスマホの画面には、新築の分譲賃貸マンション。白を基調とした室内に、広めのリビング、バルコニー付きの出窓がついていた。

「へえ、きれいだね。…でも、駅から徒歩13分か。ちょっと遠いなぁ。」

苦笑いしながらそう言ったのは大也だった。週末、ふたりは都内で結婚後の新居探しに奔走していた。

挙式はまだ少し先だが、両家への挨拶を終えた今、次のステップは生活の拠点となる“ふたりの家”だ。

一見すると仲睦まじいふたりの物件巡りだが、好みや優先順位の違いに、なかなか理想の住まいは見つからないでいた。


瑞樹の希望は、明確だった。

「築浅がいい。お風呂とトイレは絶対別じゃないと無理。出窓があって、お日さまがたっぷり入るところ。あと…外の景色も大事にしたいな」

日当たりや開放感、部屋の雰囲気にこだわるのは、彼女らしい。休日にお気に入りのカフェのような空間で過ごしたいという、小さな夢があるのだろう。

一方で、大也の基準は現実的だ。

「駅から遠いと毎日が地味にキツい。徒歩10分圏内がいいな。それと、スーパーとコンビニが近くにあるのは絶対条件。あと……地盤とか、災害リスクもチェックしよう」

「え、地盤?」「うん、ほら、地震とかあるし、逃げやすい道があるかどうかも大事でしょ」

瑞樹は「さすが建設系男子…」と感心しつつも、どこかピンと来ない様子だった。


物件巡りは、朝から夕方まで続いた。

三軒目の物件を出て、駅前のカフェで休憩をとっていると、大也がカプチーノを一口すすりながらふと呟いた。

「思ってたより難しいね。なんか、ふたりの価値観って似てると思ってたけど…」

「うん、でも私、けっこう楽しいよ。こんなに真剣に“住む場所”について考えたことなかったから」

瑞樹はそう言って、スマホをテーブルに置いた。

「たぶんさ、ふたりで住むって、“ひとりの理想”じゃ成り立たないんだよね。どっちかが折れるんじゃなくて、お互いの理想の“間”を探すんだと思う」

「おお…なんか名言っぽいぞ」

「でしょ?」

ふたりは目を合わせて笑い合う。小さな違いを楽しく認め合いお互いを尊重できている心地よさがあった。


夕方、予定していた最後の物件は、京浜東北線・大森駅から徒歩8分の静かな住宅街にあった。

小さな公園を抜けた先に、グレーとホワイトのタイル貼りの4階建ての低層マンションが佇んでいた。築7年、外観はシンプルながら清潔感がある。

「ここ…駅から近いし、環境もいい感じじゃない?」

「うん、車も通り少ないし、静か。ちょっと見てみようか」

管理人に案内されながら、エレベーターで3階の部屋へ。

「うわぁ…」

玄関を開けた瞬間、瑞樹の目が輝いた。

白い壁に、ナチュラルウッドの床。開放的なリビングには、南向きの大きな窓。出窓もあり、観葉植物が似合いそうなスペースがある。

「お風呂とトイレ、別だよ!しかもお風呂、追い焚き機能付き!」

「おお、キッチンもL字で広いな。…避難経路も確認済みだって。地盤も良好」

「え、それもう調べたの?」

「内覧の前に不動産サイトでチェック済みっす」

思わず笑ってしまう瑞樹。そのあと、ふたりはベランダに出た。

夕日が街並みをやわらかく照らしている。風は優しく、どこか心地よい。

「ここ……いいかもね」

「うん……ここだな」

自然と手が重なり合った。ふたりの視線が重なり、互いの頬がゆるむ。
30日後に成功するサプライズプロポーズ:第26話二人の新居


その帰り道、車内で大也がぽつりと呟いた。

「実はさ、物件選びってちょっと怖かったんだよね。ふたりで初めて“価値観のズレ”が出るところじゃん。ぶつかるのが嫌だった」

「わかる。でも、ぶつからなかったよ」

「うん、むしろ、互いの考えを知れて、よかったなって思ってる」

瑞樹は助手席でうなずく。

「これからきっと、家具の好みも、生活スタイルも、育ってきた習慣も、少しずつ違うことがあると思う。でも、ちゃんと話して、合わせていける気がするよ。今日のことも含めて」

赤信号で止まった交差点。大也が、そっと彼女の手を握った。

「じゃあさ、あの部屋から始めよう」

「うん。あの部屋から、新しい生活が始まるんだね」


大森の静かな通りの一角。まだ名前のない“ふたりの家”。

これからテーブルを選び、ソファを置き、カーテンの色を決める。

雨の日には一緒に窓辺でお茶を飲み、晴れた日はベランダで洗濯物を干す。

そんな何気ない日常が、この部屋に詰まっていく幸せな予感に二人は包まれていた。

きっと未来、あの日見つけた部屋のことを、ふたりはこう振り返るのかもしれない

「ふたりで選んだ、最初の“わたしたちの城”だったね」――

→第27話:ダイヤモンドは永遠の輝き


第1話「休日のカフェ、揺れる想い」

登場人物
大越大也(おおこしだいや):埼玉県大宮市出身の30歳、趣味はドライブと釣り、行動力が有り何事もまずはやってみるタイプ。先日多数の友人の助けを借りてプロポーズを成功させ新しい人生の岐路に立っている。
松本瑞樹(まつもとみずき):神奈川県出身29歳、高校時代は名門野球部のマネージャーだったお姫様キャラ。慎重派でよく考えてから行動するタイプ。先日大也からのプロポーズを受けて晴れて婚約者になった。
瑞樹の友人の茜(あかね):29歳、瑞樹とは高校時代からの地元の友人で気心が知れている。大也とも面識が有りる二人の応援団。
茜の友人古田あやか(ふるたあやか):茜の大学時代の友人、ブリッジ銀座のスタッフでJJA公認ジュエリーコーディネーター年間100組以上のサプライズプロポーズをプロデュースしている世話好きなキャリアウーマン。
山本健司(やまもとけんじ):大也の会社で同期の同僚、同期の中でいち早く結婚に踏み切った結婚に関する先輩。お相手は高校時代からの彼女。

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